日本最大級の帆船形遊具 筑紫野市の公園に「天拝の船」現る
筑紫野市総合公園に登場した「天拝の船」
この春、筑紫野市総合公園(福岡県筑紫野市)に、日本最大級の帆船形遊具「天拝の船」が誕生した。全長60メートルを超える威風堂々の姿。そのシルエットは、大海原へと出港する瞬間を静かに待つ本物の帆船のようだ。
勇気を試す"冒険"の場
その帆船が現れたのは、天拝山の麓に広がる小高い丘。2000年に設置されて以来、四半世紀にわたって親しまれてきた"先代"の老朽化を受け、市が約1億5000万円を投じて刷新した。
掲げた目標は明快だった。「日本最大のものを」――。完成した船は全長60.28メートル、幅10.2メートル、高さ24.17メートルを誇り、丘の上で存在感を放っている。
先代の頃から人気を集めていた船尾のフリーフォール滑り台も進化した。高さは4メートルから6メートルへ。6歳から12歳までが対象で、すぐそばに立つと、滑り降りるというより、真下へ落ちる――という感覚に近そうだ。
ここは、子どもたちが小さな勇気を試す場でもあるようだ。迷いなく一気に滑走する子がいれば、近くまで何度もやってきては引き返す子もいる。
「やりたいっちゃろう?」――。滑り台の下から母親が声をかけると、「やっぱり、下を見ると…」と心細そうな返事が。糸島市から家族4人で訪れた小学2年の戸高灯南さん(7)は"やってみたい"と"怖い"とが、胸の内でせめぎ合っているようだった。
開園直後に訪れたものの、最後の踏ん切りがつかずに、引き返すこと10回ほど。正午を回る頃、ようやく覚悟が固まった。家族全員が見守る中、父親は万一に備えて手を差し伸べる。
父親の存在を確かめた灯南さんは意を決し、緊張の面持ちで一気に滑り降りた。
「ドキドキしたけれど、行けてよかった」。駆け寄った母に抱き寄せられ、頬に涙の跡が残る表情はすっきりとした笑顔へと変わっていった。
ドキドキ体験と新発見
天拝の船に用意された"ドキドキ体験"は、滑り台にとどまらない。財宝が積まれた船長室、音を響かせて遊ぶ巨大鉄琴、天拝湖と周囲の山並みを一望できる展望デッキ――。船の内外に、遊び心いっぱいの仕掛けがちりばめられ、新たな発見が広がる。
全長75メートルのローラー滑り台のほか、海をイメージした遊びの場が配置され、誰もが楽しめるインクルーシブ遊具も整備された。年齢や体力にかかわらず、それぞれのペースで有意義に過ごせる工夫が行き届いている。
人気は予想以上のようだ。4月の土日には計約1万人が訪れ、公園入り口からおよそ2キロにわたる車列が続いたという。「1時間並んだけど、待ちきれなくなって」。飯塚市から家族で訪れた女性は、平日に再チャレンジして来園を果たすことができた。
公園の管理人は「SNSの影響でしょうね。中国やタイから訪ねてくる人もいて、スマートフォンの翻訳機能が大活躍です」と笑顔を見せる。市は、駐車場入り口などに外国語の案内板の設置を検討しているという。
季節ごとの表情を見せる風景の中で、丘の上に現れた巨大な帆船は、子どもたちの歓声に包まれながら、地域のシンボルとして、これからも長く親しまれそうだ。





































