自転車×散歩 やさしい風を感じながら、のんびり気軽に「ポタリング」

筑前町の農道を自転車で走る山田さん(右)

記事 INDEX

  • ペダルをこいで小旅行
  • コロナで注目度あがる
  • より便利に環境も整備

 自転車での散歩を意味する「ポタリング」。コロナ禍で自転車に乗る人が増える中、のんびりペダルをこぎながらの小旅行が注目されている。

コロナで注目度あがる

 4月上旬、元自転車プロ選手の山田大五朗さん(43)と、福岡県筑前町の農道をマウンテンバイクで走った。畑には麦の穂が波打ち、川のせせらぎがきらめく。「自然豊かな福岡は、自転車で走るのに魅力的な土地です」と山田さんがほほえんだ。

 ポタリングは英語で「ぶらつく」を意味する<potter>から生じた言葉で、観光地を巡ったり、食べ歩きをしたりと、より気軽なサイクリングを指す。自転車は観光振興策の一つとして注目されている。

 朝倉地域でも名所を自転車で巡るイベントなどで盛り上げ中だ。3月に夫婦でイベントに参加して原鶴温泉などを周遊した太宰府市の吉住祐三さん(62)も「徒歩よりもあちこち回れるし、車より小回りがきく」と満喫した様子だった。


自転車の魅力を発信する「Bike is Life」のウェブサイト


 山田さんは筑前町にクラブハウス「Bike is Life(バイク・イズ・ライフ)」を設け、自転車ツアーや乗り方教室を開く。「コロナ禍が追い風になっています」と山田さん。「密」を避けられる移動手段として見直されており、信用調査会社・帝国データバンクによると、2020年度の自転車販売市場は2137億円と過去最高を更新した。


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より便利に環境も整備

 福岡県内各地でも、ポタリングに便利な環境が整う。空気入れや修理工具などを備える「サイクルステーション」は県内に320か所(4月1日時点)ある。


「サイクルステーション」のステッカー


 糸島市の名所・桜井二見ヶ浦に近いカフェ「THALIA COFFEE(タリアコーヒー)」も登録施設で、レンタサイクルも行っており、利用者には周辺のランチスポットやアパレル店などを紹介した観光マップを配布する。店主の吉井俊二さん(46)は「糸島の街とおいしいコーヒーを満喫してほしい」と話す。


レンタサイクルなども行う「タリアコーヒー」

利用者に配布している観光マップ


 自転車ごと電車に乗れると行動範囲が広がる。西鉄天神大牟田線では、土日・祝日に特急列車に自転車を持ち込める「サイクルトレイン」を3月に本格スタートした。担当者は「コロナ禍で落ち込んだ観光需要を呼び起こし、沿線の活性化にもつながれば」と期待する。


 みやこ町のみやこ観光まちづくり協会も平成筑豊鉄道と連携したツアー(1人2500円)を企画している。同協会が貸し出すマウンテンバイクに乗ったり、同鉄道の列車内に自転車を持ち込んだりして町や周辺をガイドの案内で巡る。

おすすめ10ルート

 福岡県や市町村などで構成する「県サイクルツーリズム推進協議会」は、自転車で走りやすくて沿道に見どころの多いルートを選び、ウェブサイト「CYCLE&TRAIL FUKUOKA」で紹介している。現在10ルートあり、長距離にも、一部分だけ走るのにもいい。地図はサイトからダウンロードできる。

<ルートの例> (Photo by Atsushi Tanno)


■北九州(門司)・京築ルート

 門司港レトロや北九州空港連絡橋などを走る。京築地区は道の駅や直売所が多く、特産物などを味わえる。


■福岡・糸島ルート

 福岡市内と糸島半島を巡る。海沿いにおしゃれなカフェやショップが並ぶ。信号が少なく走りやすい定番ルート。


■筑後周遊ルート

 柳川の掘割や八女の茶園、伝統的な街並みなどを巡る。筑後の歴史と文化を感じられ、比較的平らで走りやすい。


■筑豊周遊ルート

 遠賀川沿いの道などを走る。嘉穂劇場や石炭記念公園など、筑豊の街並みや歴史、自然などを楽しめる。

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