「量り売り」で必要な分だけ! 無駄なしゴミなし導入広がる

多肉植物の量り売りを行っている「名田植物園 阿志岐農場」

記事 INDEX

  • 意外な物にも導入
  • おもちゃ長く愛用
  • 生まれ変わる端材

 必要な分だけを購入する「量り売り」は、環境に優しく、節約にもつながる。食材だけでなく、意外な物にも導入されている。

意外な物にも導入

 観葉植物などを生産・販売する福岡県筑紫野市の「名田植物園 阿志岐農場」では、ぷっくりとした姿が人気の多肉植物を量り売りで販売している。


好みの量で購入可能な多肉植物

 対象となる多肉植物は約400種類あり、来園者は気に入ったものをはさみで切り取る。会計時に計量し、1グラム8円で購入する仕組みだ。

 代表の名田英輔さん(70)によると、多肉植物は切り取った葉や茎を土に置いたり挿したりして、簡単に殖やせる種類が多いそうだ。愛好家は複数の品種を少量ずつ寄せ植えにして楽しむ人が多く、6年ほど前に量り売りを始めた。「選ぶのが楽しい」と好評で、リピーターもいるという。

 名田さんは「気軽に栽培を始められる。植物がある生活の魅力を知るきっかけになればうれしい」と話す。

おもちゃ長く愛用

 おもちゃを量り売りで買える店もある。春日市のベビー用品リユース店「ポスポスマルシェ200 アクロスモール春日店」では、100点以上の中古品から選べるコーナーを設けている。10グラム10円。


10グラム10円でおもちゃを販売するコーナー

 おもちゃは客から1キロ10円で買い取ったもので、ぬいぐるみやミニカー、アニメのフィギュア、飲食店のおまけなど様々。中には部品が一つ足りない玩具もあるが、「これが欲しかった」と目を輝かせる客もいるそうだ。

 6月は延べ694組が利用。1歳の娘を連れた大野城市の女性は「色々なおもちゃに興味を持つ年齢なので、気に入ったものを気軽に買えるのがうれしい」とほほえんだ。


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生まれ変わる端材

 福岡市西区の廃材セレクトショップ「土曜日のマテリアルマーケット」は、九州の事業者や生産者からものづくりの過程で出た木材や布、紙、陶磁器などの廃材や端材を引き取って、「価値あるもの」として販売している。


様々な形の端材が並ぶ

 中でも木の端材は、細い棒や板など多彩な形やサイズがあり、一部を量り売りで購入できる。ウォールナットや杉、ひのきなどがあり、1グラム2円。高級木材の縞黒檀(しまこくたん)のみ1グラム8円。


廃材セレクトショップ「土曜日のマテリアルマーケット」の店内


 購入客の用途も「ハンドメイド作品を置く台座にする」「三線の部品として利用する」など様々。店を営むいずれもデザイナーの久保哲也さん(43)と睦さん(43)の夫婦は「廃棄されるものの中にも、すてきな品はたくさんある。良いと思ったものを必要な分だけ購入してほしい」と話す。


新しい出会いも魅力

 量り売りは、容器の使い捨てや過剰な買い物を減らして環境への負荷を軽くする狙いから近年広がっているが、新たな価値観や魅力を客に知ってもらう機会でもある。


「ノミヤマ酒販」の量り売りコーナーに並ぶ酒類

 古賀市の「ノミヤマ酒販」では、2021年5月から焼酎と日本酒の量り売りを行っている。約40種から好きな銘柄を選び、1合、2合、2合半から購入できる。銘柄ごとに値段は異なり、ガラス製マイボトル(1700円)の購入が必要だ。


量り売りで楽しめる日本酒と焼酎


 同店は小規模の酒蔵の品を中心に扱うが、生産量の少ない酒は一升瓶でしか販売されないことも多く、客にはハードルが高いという。店主の許山浩平さん(35)は「広く知られていない良い酒がたくさんある。新しい味に挑戦してほしい」と説明する。


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