素直な気持ちをLINEで相談 自殺防止へ、福岡県が運用

LINEを使った相談窓口の模擬画面

 増加傾向にある若者の自殺を防ごうと、福岡県は無料通信アプリ「LINE」を使った相談窓口の運用を始めた。公認心理師ら専門家に加え、年齢が近い大学生も相談員として配置。県は「素直な気持ちを吐き出せる場にしていきたい」としている。

 県などによると、県内の自殺者数は2012年から減少傾向が続いていたが、20年に再び増加に転じ、21年は前年比35人増の913人だった。特に10歳代の増加が目立っており、21年は同11人増の39人で、約1.4倍となっている。

 県は若年層の自殺が増えている一因として、▽SNSの普及で人との直接交流が減っている▽新型コロナウイルス感染拡大による休校やオンライン授業の影響で友達ができない――などを挙げる。これまでも電話や対面で相談に応じてきたが、若年層の利用は少なかった。インターネット上でのやり取りに慣れた世代で、直接会ったり、電話したりすることにハードルを感じる人が多かったとみている。

 そこで、若者になじみのあるLINEでの相談受け付けを始めることにした。相談に応じる大学生は心理学などを専攻している人で、研修も実施した。

 LINE上での検索に必要なIDは「@469xxbam」。受け付け時間は毎週月、木曜日の午後4~7時。相談者側のユーザー名は表示されない。命の危険がある場合は、県警人身安全対策課と情報共有して対応する。

 県によると、夏休みが明ける前後は緊張や不安でストレスを受けやすく、心身の調子を崩す子どもが多い傾向にあるといい、相談窓口の積極的な活用を呼びかけている。

 県こころの健康づくり推進室の猪股祐子室長は「率直な思いを書くことで感情の整理につながり、気持ちが楽になるかもしれない。事の大きさにかかわらず、まずは相談を」と話している。


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