自宅に届く減塩レシピのミールキット 産学官連携で商品化へ

考案した減塩レシピの料理を作る学生ら

記事 INDEX

  • 県プロジェクトの一環
  • 大学生がレシピ考案!
  • 食習慣を見直す機会に

 産学官の力で減塩を推進――。福岡県と食品宅配会社「ヨシケイ福岡」、福岡女子大学の3者が連携し、食材や減塩レシピをセットにした「スマソルミールキット」の商品化を進めています。大学生考案のレシピを基に、関係者が試作や改良などに取り組み、2025年1月からの販売を目指しています。

県プロジェクトの一環

 ヨシケイ福岡のスタッフや福岡女子大の学生らが11月中旬、福岡市内のキッチンスタジオで減塩レシピを試作しました。「もう少し薄味でいいかも」「ショウガの風味が利いておいしい」。学生たちは調理をしながら、味の微調整を検討していました。


試作した料理の味を確認

 ミールキット(料理キット)の商品化は、食塩の適正摂取を目的に県が推進しているプロジェクト「TRY!スマソる?」の一環。「減塩だけどおいしい」を自宅で感じてもらおうと、食材と調味料、レシピが届くミールキットを開発することにしました。


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大学生がレシピ考案!

 若者にも減塩に関心を持ってもらおうと、レシピの開発は年齢の近い食・健康学科の3年生32人が担当。事前に提示された食材や調味料の使用条件を満たすように、工夫を凝らした24のレシピを1か月ほどかけてつくりました。


学生が考案した減塩レシピの一例

 少量のカレー粉を隠し味に塩の利用を抑えながらコクを出した「マカロニ ラザニア」や、香味野菜で味にパンチを利かせて塩分を控えめにした米国南部の料理「ジャンバラヤ」などです。アサリのみそちゃんこ鍋を考えた学生は「しょうゆを一切使わず、みそベースの味付けにしました。アサリの出汁(だし)やニンニク、ショウガなどでしっかり味を出し、塩分を通常の半分程度に抑えています」と教えてくれました。


「TRY!スマソる?」の特設サイトの画像(福岡県提供)

 プロジェクトを紹介する県の特設サイトでも、減塩のコツとして「香辛料、香味野菜や果物の酸味を利用する」「むやみに調味料を使わない」などを挙げています。県健康増進課は「塩分の取り過ぎは高血圧や動脈硬化などのリスクが高まります」と注意喚起します。

食習慣を見直す機会に

 厚生労働省が2016年に実施した国民健康・栄養調査では、福岡県民1人あたりの食塩摂取量は男性が1日11.7グラム、女性が9.5グラム。いずれも全国平均(男性10.8グラム、女性9.2グラム)を上回り、男性は全国ワースト4位、女性は8位となりました。この状況を改善しようと、県は、1食あたりの食塩相当量を2.5グラム以下にするよう呼びかけています。


自宅に届くミールキットのイメージ(ヨシケイ福岡提供)

 商品化するミールキットは、1食あたりの平均食塩相当量を2.5グラム以下に抑えています。ヨシケイ福岡が販売し、1週間単位での注文を想定。自宅に食材が毎日届き、レシピブックを参考に調理すると、簡単に作れるようにしています。

 県健康増進課健康づくり第一係長の三浦貴史さんは「大学生が考えたレシピのミールキットを通し、多くの人に減塩に関心をもってほしい。中でも20~30歳代の若い世代が食習慣を考えるきっかけになれば」と話しています。



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