北九州市若松区の風力発電会社「エヌエスウインドパワーひびき」は2月9日、同区の響灘北緑地に設置している風車全10基を撤去することを明らかにした。
安全担保が難しく
同社によると、2003年3月の運転開始から約20年が経過し、設備のメンテナンスや修理が頻繁になるなど安全性の担保が難しくなってきていることが理由という。
風車は高さ約100メートル、総出力1万5000キロ・ワット。23年6月までに発電事業を終了し、24年3月までに撤去する。
洋上風車に”引き継ぎ”
一列に並んだ風車は響灘地区のランドマークとして知られ、映画やCMのロケ地にもなっていた。
北九州市や周辺地域で映画の制作や上映を支援するボランティア団体「九州シネマ・ポート」の後藤祐平会長は「市が環境都市づくりに取り組む中で、風車は象徴的な風景になっていた。映画などにもよく登場していただけに寂しい。これまでに撮影された映像が貴重な記録になると思う」と話した。
響灘沿岸では大規模な洋上風力発電事業が今年3月に着工し、風車25基が25年度に運転を開始する予定。市は「10基の風車が果たしてきた産業、観光面での役割は洋上の風車が引き継ぎ、新たな北九州の顔にしていきたい」としている。