福岡県飯塚市中心部の本町商店街に、誰でも自由に演奏できる「ストリートピアノ」がお目見えした。通りを歩く人々の笑顔やにぎわいにつなげようと、クレープハウス「ラパン」を営む村上英輔さん(81)が店先に設置した。地元の交響楽団の団長も務めており、「ピアノを弾く人、聴く人などいろんな人が集まる場になれば」と願う。
クレープハウス「ラパン」の店先に
村上さんは同市出身で武蔵野音大卒。九州交響楽団(福岡市)で数年間、活動した後、帰郷してカメラ部品販売の家業を手伝いながら、音楽教室や高校で音楽の講師などを務めた。クレープハウスは約40年前から経営している。
音楽関係では、1973年に筑豊地区の市民でつくる飯塚吹奏楽団を、95年には九州一円の奏者が参加する筑豊交響楽団を発足させ、今も交響楽団長として活動するなど地域の音楽文化を先導。長女の村上ゆきさんはピアニストで、著名な歌手に楽曲を提供したり、CMソングを手がけたりもしている。次女のふみさんはバイオリニストとして活動している。
お披露目されたのは2月28日。村上さんと親交のある田川市のピアニスト・長野香織(かおる)さん(40)が特別に演奏すると商店街に美しい旋律が響き、買い物客らが足を止めて聴き入る姿も見られた。中には、イチゴを差し入れる人もいた。
長野さんは「コンサートとは違った一体感のある空気感が好き」と笑顔。商店街で衣料店を営む渡辺キヨさん(79)も「通りの雰囲気が一気に良くなった」と喜んでいた。村上さんは「誰もが知っているような楽曲を伴奏し、みんなで一緒に歌ってもらう場にもしていきたい」と話していた。
ストリートピアノは午前11時~午後4時、自由に弾くことができる。