福岡市は5月9日、公開空地の利用ルールを見直し、キッチンカーなどが日常的に出店できるようにする「オープンキッチンプロジェクト」を始めた。市中心部で進む再開発事業「天神ビッグバン」に伴って飲食店の閉店が相次ぐ中、昼食で利用する店が減少したという声もあり、天神で働くビジネスマンの新たな選択肢となることが期待される。
飲食店減少を受け規制緩和
市の地域まちづくり推進要綱によると、ビルやマンションの敷地内で歩行者が自由に利用できる公開空地の用途は公益性のあるイベントに限定され、年間180日以内、1イベントにつき原則10日以内とするなどの規制があった。街の活性化につなげようと、市は要綱を改定し、ビルの所有者の許可を得て、イベント以外にも日常的にキッチンカーやオープンカフェを出店できるようにした。
対象は、天神ツインビル、福岡大名ガーデンシティ、福岡銀行本店ビル、ピエトロビルといった天神地区を中心とする公開空地。今後は市有地でも実施するほか、対象場所や出店者を募り、順次拡大していく方針。
天神ツインビル前の公開空地ではこの日から、平日のランチタイム(午前11時~午後1時半)の日替わり出店が始まり、出店したカレー店のキッチンカーは多くの客でにぎわった。近くで働く同市城南区の会社員男性は「昼食時によく利用していた店があるビルがなくなって困っていた。会社にも近いのでまた利用したい」と話していた。
高島宗一郎市長は記者会見で「天神ビッグバンでランチの場所がなかなか見つかりにくいという声も聞く。公開空地を利用したにぎわいの創出につなげていきたい」と期待を寄せた。