西友がスーパー「サニー」をイズミに売却 屋号は継続

 全国でスーパーを展開する西友(東京)は4月3日、九州5県で運営する「サニー」など全69店舗の事業を、中国・四国・九州が地盤のイズミ(広島市)に売却すると発表した。本州での事業に集中するためとしており、西友は九州から撤退する。イズミは「サニー」の屋号と雇用を継続し、九州での経営基盤強化につなげる。

西友は九州から撤退


西友が運営している「サニー」(福岡市中央区で)

 西友が福岡、佐賀、熊本、大分県で運営している「サニー」67店舗と、長崎県の「西友」2店舗を、イズミの子会社ゆめマート熊本(熊本市)に8月1日付で譲渡する。売却額は非公表。物流センターなども対象で、イズミは、パート従業員を含む約3800人の雇用を維持するとしている。

 西友の九州事業の売上高は969億円(2022年12月期)で、西友は九州事業のほか、北海道の事業もイオン北海道に売却する。

 「サニー」は、百貨店の岩田屋(現岩田屋三越)が伊藤忠商事と共同で運営会社を設立し、1963年に熊本市で1号店をオープンした。店舗網の拡大を進めたが、岩田屋が本業の経営不振で債務超過に陥ったため、再建策の一環で保有する全株式を2001年に西友に売却していた。

イズミ「九州でさらに強固な存在感」

 一方、広島で創業したイズミは、1995年に九州に進出。福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の5県で大型商業施設「ゆめタウン」や「ゆめマート」など計84店を展開しており、九州が全190店の半数を占める。


西友から九州事業を譲り受けることを説明するイズミの山西社長(広島市で)

 イズミは2025年度までの中期経営計画で、事業拡大に向けて福岡県を重点エリアの一つと位置づけ、企業の合併・買収(M&A)を含めた経営戦略を進めることを明らかにしていた。今年1月には、大分県内で食品スーパーを運営するサンライフ(大分市)の買収を発表しており、今回の継承と合わせると九州では約160店体制となる。

 広島市で3日に記者会見したイズミの山西泰明社長は「西友の事業を受けることで、福岡県を中心に九州でさらに強固な存在感を築ける」と述べた。


advertisement

この記事をシェアする