2021年から休館している福岡県飯塚市の「嘉穂劇場」(国登録有形文化財)について、施設を管理する同市は26年秋頃、内部を見学できるようにする方針を決めた。運営していたNPOが経営難で解散して以降、5年ぶりに開場し、最終的には劇場の再開につなげていきたい考えだ。
1931年に開場した嘉穂劇場は、江戸時代の歌舞伎様式を伝える木造2階建ての芝居小屋。見学で訪れた人々には、場面転換に使う「廻(まわ)り舞台」などを体験してもらう。耐震工事などを経て、多目的施設としての貸し出しや、劇場再開へと段階的に進めていく方針。
NPOから劇場の無償譲渡を受けた同市が活用法を検討してきた。劇場再開の目標時期は、市教育委員会の諮問機関が開場100年にあたる「2031年度」と答申しているが、市教委は「状況に応じて判断する」(文化課)としている。
改修費や付属建物の解体費などとして少なくとも36億円が見込まれ、同市は25年度の一般会計当初予算案に一部の費用を計上する。