門司港の変遷を記録 観光ガイド内山さんが写真集を出版

 北九州市門司区で観光案内を続けてきた内山昌子さん(84)が、故郷の風景や歴史的建造物を記録した写真集「愛(いと)しの門司港」を自費出版した。3月でグランドオープンから30年になる門司港レトロ地区を知り尽くし、「レジェンド」とも呼ばれる内山さんは「いろんな物語があることを伝えたい」と話している。

観光名所や日常の風景を撮影


1990年4月に撮影されたJR門司港駅(写真集から)

 門司で生まれ育った内山さんは、30歳から地元の百貨店・山城屋の5階にあったレストランに勤めた。窓から見える建物などについて利用客から尋ねられる機会が多く、写真があれば説明しやすいと思い、コンパクトカメラで撮影を始めた。

 山城屋は1994年に経営難に陥り、レトロ地区が開業した95年に内山さんは商店街の観光案内所に再就職した。情報収集のため門司周辺の飲食店を食べ歩き、ホテルや旅館での宿泊も重ねる中で街の景色を撮り続けた。

 写真集には164枚を掲載。「懐かしい風景―レトロ整備前―」や「暮らしの風景―港・銭湯・学校・食・店・街角―」など5章に分けて紹介している。

 お気に入りは、90年4月にJR門司港駅(国重要文化財)を撮影した一枚。現在はなくなった桜が咲き誇っており、駅舎建築100年の記念切手にも採用されたもので「撮っておいて良かった」と振り返る。

 観光名所の建物だけでなく、学校、街中の食堂など日常風景も多い。164枚とは別に映画のロケの撮影風景や、俳優と一緒に納まった写真もエピソードとともに載せている。


写真展の会場で来場者に説明する内山さん(左)

 観光案内所を退職後もガイドを続け、JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」が門司港駅に停車した際の案内役も務めた。写真は数え切れないほどに増え、「物を整理する年齢になったけど、捨てるにはあまりにも愛しい」一枚ずつをどうするか考え、2024年秋に写真集の出版を思い立った。

 出版を記念する写真展が、門司区栄町のめがねのヨシダ門司港店ギャラリーで3月8日まで開かれている。入場無料。水、日曜は定休。写真集は縦22センチ、横26センチの104ページ。500部を発行し、1部4000円(税込み)。


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