「魚町みらい広場」5月に開業へ 復興を考える会は解散
北九州市小倉北区の中心市街地で2024年1月に起きた大規模火災で、跡地の復興について地権者らが検討してきた「魚町地区の復興を考える会」が3月25日、解散した。跡地の暫定的な利用方法や、再開発に向けた協議会を新たに発足させることが決まったため。陶器店が被災し、会長を務めてきた戸田和雄さん(76)は「皆さんの支えで何とか次のステップに行ける。ありがたい」と感謝を述べた。
新たなステップへ
火災は24年1月3日に発生。同区魚町の飲食店街「鳥町食道街」などの36店舗、住宅1世帯を含む約2730平方メートルが焼損した。
跡地には多数の地権者が存在し、活用の方針がまとまるかが焦点となっていた。同6月下旬にがれきが撤去された後、「復興を考える会」が発足し、全国の再開発や被災した商店街の復興事例を学ぶ勉強会を開いてきた。
25日は小倉北区で解散総会が非公開で行われ、地権者ら約10人が参加。出席者によると、跡地の大半を不動産会社「リアルエステートサービス」(小倉北区)が5年間地権者から借り上げ、広場として活用することが報告された。「魚町みらい広場」と名付け、5月9日にオープンする予定という。
街の未来を考える場に
同社は跡地近くのビルを所有し、火災では外壁を焼くなどの被害を受けた。飯田大樹社長(36)によると、広場にはテントやキッチンカーが並ぶことを想定。鳥町食道街にあった小倉名物・焼うどん発祥の店「だるま堂」が出店予定で、食道街で営業していた他の店にも参加を呼びかけるという。飯田社長は「鳥町食道街があったことを忘れず、街の未来を考えていける場所にしたい」と話した。
将来的な再開発に向けては、被災していない地域の地権者も含めた「再開発協議会」を5月にも設立する方針。市や商工会議所が関与しながら、再開発の手法や対象エリアなどを検討していくという。
跡地の暫定利用が決まったことなどを受け、武内和久市長は「魚町地区は北九州、小倉の顔となる大事なエリア。多くの人々が集い、にぎやかな日々が戻ることを期待している。市としても復興を全力でサポートしていきたい」とのコメントを発表した。