長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督が死去した6月3日、福岡県内でも長年のファンらが球界きっての大スターの死を悲しみ、惜しむ声を上げた。人を引きつけてやまないプレーと功績だけでなく、病に立ち向かう姿や温かな人柄に励まされた人も多く、「たくさんの夢や希望をもらった」「お疲れさまでした」と感謝の言葉を送った。
「努力」お礼の色紙飾る
嘉麻市の嘉穂中学校には、長嶋さん直筆の「努力」と書かれた色紙が飾られている。2022年、当時の2年生が脳梗塞(こうそく)からの再起を図る長嶋さんについて道徳の授業で学び、感想や激励のメッセージを送ると、返礼として届いた。
色紙は利き手ではない左手で書かれ、添えられた手紙には、「くじけそうになった時は、ぜひ、へこたれない心を思い出して、努力にはげんでください」とつづられていた。
メッセージの送付を発案した当時、学年主任だった山本高司さんは「逆に生徒たちが励まされた。さすが大スターだと思った」と振り返る。この学年の一人は、高校で甲子園出場を果たしたという。
3日には下校前に生徒たちが黙とうをささげた。3年の男子生徒(14)は「自分の学校と交流があったのは誇らしい」と話した。
「客を喜ばせるプレー」忘れない
球速250キロのピッチングマシンで知られる北九州市小倉北区の三萩野バッティングセンター代表、末松一英さん(58)は、華麗な守備や空振りでも絵になる長嶋さんに魅了された。「観客を喜ばせることを考えてプレーした人だった。多くのスターが誕生したが、球界の頂点に立つのは長嶋さんだ」とたたえた。
長嶋さんがファンを大切にしたように、自身も客の期待に応えようとマシンの最速の更新を続けている。「長い間、お疲れさまでした」と悼んだ。