鮮魚が空を飛ぶ!24時間運用の北九州空港、物流で高まる存在感

貨物専用機から降ろされる北海道の水産物が入ったコンテナ(3月24日)

記事 INDEX

  • 新鮮な魚を消費者に
  • 水産業者の販路拡大
  • 延伸で広がる可能性

 物流の拠点化が進む北九州空港(北九州市小倉南区)で、活魚の航空輸送が活発になっている。カレイやホッキ貝といった北海道の逸品が北九州に届くことで、「すしの都」を掲げる北九州市も都市ブランドの向上につながると期待。九州から関東への空輸も始まっており、九州の魚介類の販路拡大も見込まれている。

新鮮な魚を消費者に

 3月下旬。運輸大手のヤマトグループなどが定期運航する貨物専用機が、午後3時頃に新千歳空港(北海道千歳市)を出発し、同5時半頃に北九州空港に到着した。その日の朝に、北海道で水揚げされたばかりの高級魚マツカワガレイやホタテなどが生きたまま届けられた。

 市企業誘致課によると、北海道の魚が活魚として九州に来ることはこれまでほとんどなかったという。この活魚輸送事業を推進するヤマト運輸貨物航空輸送部の原俊彦係長は、「新鮮な魚を九州の人にも味わってもらいたい」と話した。


北海道から貨物専用機で届いたマツカワガレイ


 北九州空港は九州・中国・四国地方で唯一、貨物定期便が就航。海上空港で24時間運用可能なため、深夜に運航できる強みがある。そうした特徴を生かし、同社は2025年10月、九州の水産物を生きたまま真夜中に羽田空港(東京)に輸送する「活魚のスピード輸送」を開始した。これまで週に2回程度、北九州空港発の深夜便を活用してきた。輸送量は非公表としている。


 その流れで、北海道産の海産物を北九州に空輸する実証実験が26年2月、市企業誘致課やすしの都課とも連携して始まった。

 同空港で活魚の輸送に取り組むのはヤマト運輸のみで、マツカワガレイなどを輸送し、北九州市内のすし店などに届けている。市企業誘致課の担当者は「今後は市内店舗の魚種のニーズなどを把握し、業者間のビジネス展開につなげたい」と話す。

 北九州のすしの魅力発信を図る市すしの都課の担当者は「北九州の魚を多くの人に味わってもらうのが第一だが、新鮮でおいしい魚が集まる街としても発展する可能性が広がる」と語る。


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水産業者の販路拡大

 25年10月に始まった航空貨物によるスピード輸送は、九州の水産業者の販路拡大も図れると期待されている。

 長崎県対馬市で朝に水揚げされたアナゴやクエなどを、フェリーやトラックで北九州空港に運搬。24時間空港の利点をいかし、深夜に同空港を出発する羽田便で空輸し、翌朝に都内の飲食店などに運んでいる。



 活魚の運送は、トラックで大量輸送することが主流で、小規模な水産業者が取り組むのはハードルが高かった。一方、スピード輸送では少量輸送も引き受けることにより、小規模な業者の販路拡大を後押ししている。水揚げの翌日には届けられるため、新鮮で付加価値の高い商品の出荷が可能だ。

 サービスを利用する対馬市の水産仲卸業「ダイケー」によると、これまで都内の納品先は市場に限られていたが、少量輸送により、飲食店などから取引の問い合わせが来ているという。山田泰三社長は「チャンスは確実に増えた」と歓迎する。

 ヤマト運輸の原さんは「水産事業者や魚の量を増やし、地域の産業活性化に貢献したい」と強調する。

延伸で広がる可能性

 北九州空港は物流拠点としての存在感を年々強めている。2019年11月には韓国の大韓航空が、23年2月には米貨物大手UPSが国際貨物定期便を就航させた。国内貨物定期便では、24年4月にヤマトグループ・JALグループが運航を開始している。

 さらに現在、滑走路を2500メートルから3000メートルに延伸する工事が進められており、27年8月には供用開始する見通しだ。国土交通省によると、延伸に関わる総事業費は約130億円。4月には、26年度予算に22億6400万円を計上することが発表された。


滑走路の延伸工事が進められる北九州空港(3月2日、読売ヘリから)=中司雅信撮影


 滑走距離が延びれば、より多くの燃料を搭載した機体が離陸できるため、北米や欧州への長距離運航が可能となる。市は延伸をきっかけに、九州で製造が盛んな半導体関連製品の集荷も増やし、路線拡充を図りながら、28年度の貨物取扱量を5万トン(24年度は約3万6600トンで過去最高)にまで引き上げたい考えだ。

 市空港企画課の担当者は「これまで成田(千葉県)など遠方の空港から北米、欧州に運んでいた荷物を北九州から送れるようになれば、輸送時間やコストの削減になる。九州の企業の競争力強化や投資の呼び込み、産業集積を図りたい」と話している。


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