【鹿児島】「甑ミュージアム」新装開館へ 薩摩川内市がPR

 鹿児島県薩摩川内市の離島・甑島で発見された化石を中心に展示している「甑ミュージアム恐竜化石等準備室」(下甑島)が8月いっぱいで閉館し、2025年4月に「甑ミュージアム」として新装開館する。開館の機運を高めようと、同市は7月12日、地元の鹿島公民館に学者を招き、化石に関する講演会を開いた。今後もイベントを開催して認知度向上を図る。

2025年4月オープン 「準備室」は8月で閉館


骨格標本などが並ぶ甑ミュージアム恐竜化石等準備室。新装開館で拡充される

 「恐竜の化石かどうか、どの部分が見つかったら一番簡単に見分けられるでしょう。歯か指か腰か、気軽に挙手をお願いします」

 国立科学博物館の真鍋真副館長(恐竜学)が問いかけると、集まった子どもから大人まで約100人が次々と手を挙げた。


 正解は腰。ティラノサウルスの骨格の画像を示した上で、「穴が開いていると恐竜。一歩一歩のコンパスが長くなるので、獲物を速く追いかけたり、敵から逃げたりできたため、繁栄したと考えられる」と解説した。

 2008年に甑島で肉食恐竜の歯などが発見されて以降、真鍋さんは調査で来島している。現在は、甑ミュージアムの運用などを検討する市設置の協議会会長も務める。

 この日は、島内で見つかった草食恐竜・ハドロサウルス類の化石にも触れ、「7600万年前以降、多くの種類の恐竜が衰退していくが、ハドロサウルス類だけが減っていない」と指摘。さらに「恐竜の進化を解き明かすために、甑島の化石も含め、隕石(いんせき)が落ち、恐竜が絶滅した6600万年前までの1000万年間に注目することが重要になっている」と述べた。

 講演は約1時間。会場からは、島の化石や恐竜の寿命などについて質問が相次ぎ、島民らは最後まで興味津々な様子だった。

ガラス張り、裏側も見学可に

 骨格標本などを展示している甑ミュージアム恐竜化石等準備室は、下甑島北部の鹿島市民サービスセンター内にある。

 現在、甑ミュージアムへの改装が進められており、これまで2階にあった化石クリーニング室を1階に移したり、研究作業室を新設したりしている。ガラス張りにし、来館者が博物館の裏側も知ることができるような構造にする。

 新装後は展示スペース、展示物ともに拡充される。市の担当者は「開館に向けて認知度向上を図り、地域全体で盛り上げていきたい」と話している。

 準備室は入館無料だが、新装開館後の入館料(大人)は市民250円、市民以外500円などを予定している。


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