【長崎】対馬においで「ちろもの宿」UIターン増やしたい

 長崎県・対馬の中央部に位置する対馬市豊玉町千尋藻(ちろも)地区に、空き家をリノベーションした宿泊施設が完成した。市の「島おこし協働隊員」として活動した同市峰町の小川香織さん(28)が、UIターン者を増やすきっかけにしようと手がけた。

元・島おこし隊の小川さん


「ちろもの宿」の前で「宿泊して対馬の魅力を知ってほしい」と話す小川さん

 対馬海峡に面した部屋の窓からは、青い海と緑の山々が見える。「何もせず、ただのんびりと景色を楽しむだけのぜいたくな時間を過ごしてほしい」。地区名にあやかって名付けた「ちろもの宿」の前で、小川さんが語った。

 ケーキ店を開業するのが夢で、高校卒業後に島を出て菓子作りの専門学校へ進学。その後、徳島県の洋菓子店でパティシエになった。毎日が充実していたが、仕事に打ち込むほど古里が遠くなるような気がした。ストレスを感じ始めたことから休職して帰省すると、気持ちが癒やされていった。4年勤めた店を辞めて対馬に戻り、市が募集していた島おこし協働隊に採用された。

 2020年4月から、空き家対策を主としたコミュニティー支援を担当。UIターン者に体験談などを聞いてSNSで発信してきた。23年3月に任期を終えてからも、移住希望者と住まいを仲介する仕事をしたいと考え、合同会社「つしまびと」を設立して活動を本格化させた。

「一目ぼれ」の空き家を改修

 「ちろもの宿」は築50年ほどで約150平方メートル。知人の紹介を受けて「一目ぼれ」し、所有者と賃貸契約を交わした。23年12月からリフォームに着手。水回りを新しくしたり扉を外して空間を広くしたりしたほか、壁紙を白に貼り替えて明るい雰囲気を醸し出した。

 料金は1人1泊1万8000円で、2人目以降は5000円。対馬での暮らしを少しでも体感してもらうため、食材は自分たちで持ち込んで自炊してもらう。「自分なりのやり方で『対馬ファン』が増やせればうれしい」と話す小川さん。「次に手がける物件はケーキ店に改修したい」と夢を膨らませている。

 問い合わせは小川さん(080-1746-6998)へ。


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