【大分】玖珠町と都市圏を往来 「2地域居住」いかが?

 大分県玖珠町は、東京や大阪などの都市圏と町を行き来して暮らす「2地域居住」の都市住民の誘致に乗り出す。関心がある人に4往復分の航空運賃に相当するマイレージを付与したり、空き家をリフォームした「お試し暮らし住宅」を安価で提供したりして将来的な移住、定住を促す考えだ。

JALと県信組も協力

 2地域居住は都市と地方にそれぞれ拠点を設け、平日は都市で仕事をして休日は地方でのんびり過ごす新しいライフスタイル。誘致事業には趣旨に賛同した日本航空(JAL)と県信用組合も協力する。

 町は今年度、既存の1戸に加え、新たに民間の空き家1戸をリフォームして受け皿にする。家賃は月3万円(水道・光熱費込み)。JALのマイレージサービスを利用している人が対象で、マイレージの付与にかかる費用も町が負担する。事業費は計600万円。


覚書を手にする(左から)吉野理事長、宿利町長、小田支店長

 空き家のリフォームは、県信組から寄せられた企業版ふるさと納税を活用する。県信組はこのほか、町内で空き家などを購入する人向けの金融商品の提供も検討する。

 JALはマイレージサービスの会員らに町の魅力を発信するほか、窓口業務も担当する。今年度はモニターに実際に住んでもらうなどして課題を洗い出し、2025年4月から本格的に受け付ける。26年度末までに延べ50人程度の利用を見込んでいる。

 町役場で10月16日、3者による覚書の締結式があり、宿利政和町長と日本航空大分支店の小田和彦支店長、県信用組合の吉野一彦理事長が署名した。

 町によると、9月末現在の人口は1万3841人。ピークだった1950年代半ばの半分以下に激減する一方、町の補助を得て転入した人は過去5年間で計113人にとどまった。宿利町長はあいさつで、「(2社の協力を得て)町の最大の弱点である情報発信力と財政力をカバーできた。2地域居住の取り組みを、これまでハードルが高かった移住、定住に結びつけていきたい」と述べた。


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