【熊本】藤崎台球場の「移転」を提言 県の有識者会議

 老朽化した熊本県有スポーツ施設の整備方針について、有識者の検討会議(座長=沢田道夫・熊本県立大教授)は築65年の藤崎台球場を「移転再整備」、バスケットボール・B2リーグの熊本ヴォルターズが本拠地とする同43年の総合体育館を「現地再整備」などとする提言書をまとめた。

 受け取った木村敬知事は「(提言を)重く受け止める」とし、県議会定例会が開会した9月16日には「(10月7日までの)会期中に整備の方向性を示す」と述べた。

知事「会期中に方向性」


夏の高校野球県大会も行われている藤崎台球場

 県有スポーツ施設はいずれも熊本市に建てられており、同球場と同体育館のほかには築54年の熊本武道館、同27年の県民総合運動公園陸上競技場がある。

 4施設の整備の方向性を協議してもらおうと、県は同会議を設置して2024年8月に初会合が開かれた。スポーツ関連団体などの有識者10人が一般利用と興業の両立、費用対効果などの観点から議論を重ね、9月1日に提言書を公表した。


球児らが熱戦を展開するグラウンドを備える

 同球場については、熊本城の特別史跡の指定範囲近くに立地し、文化財保護の観点などから「移転再整備」とした。日本野球機構(NPB)のキャンプを誘致したり、イベントを開催したりできる構造にすることで収益を見込めるとし、交通の利便性を重視した移転先の選定を求めた。

 硬式野球をプレーできる球場は県内に少ないことから、「現球場は野球場として残すことが望ましい」としている。

総合体育館は「現地再整備」


現地での再整備が提言された総合体育館

 同体育館は、需要が増加している大規模なスポーツ大会などを開催できる水準にない一方、交通の利便性が高く民間事業者との連携が期待できることから「現地再整備」とした。

 ヴォルターズは26年に始まる新リーグ「Bプレミア」の加入を目指しているが、5000席以上の観客席を備えるアリーナが条件の一つになっていることを踏まえ、優先的な整備を求めた。

 熊本武道館は空調などを整備する「改修」、県民総合運動公園陸上競技場は「現状維持」とした。

 木村知事は24年3月の知事選の公約で、県有スポーツ施設の整備方針を今任期中に示す方針を掲げて当選した。


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