【佐賀】ピロリ菌検査キット開発  佐賀大と診断薬会社 

 佐賀大と診断薬会社「ミズホメディー」(佐賀県鳥栖市)は、胃がんなどを引き起こすピロリ菌のPCR検査キットを開発した。便を検体として検査するもので、6月に厚生労働省から「体外診断用医薬品」として国内で初めて承認されたことを明らかにした。佐賀県内では来年度以降、中学生の定期健診で導入される見込み。


ピロリ菌のPCR検査キットについて説明する垣内准教授(右)ら

国内初承認 中学生健診に導入へ

 県では2016年から、全国の都道府県に先駆けて中学3年生を対象にピロリ菌の検査・除菌事業を行っている。同大などによると、ピロリ菌は幼少期に感染することが多く、日本では胃がん患者の98%がピロリ菌に感染していたとする報告があるという。

 ピロリ菌の検査では、尿検査などで感染したことが疑われる場合、従来は抗菌薬による除菌治療を行う。同大によると、未成年では1次除菌治療で使われる抗菌薬「クラリスロマイシン」の薬剤耐性があるピロリ菌に感染している割合が約7割と高く、除菌治療に失敗して別の抗菌薬で治療を行ったり、胃カメラで検体を採取したりする必要がある。


佐賀大とミズホメディーが開発したピロリ菌PCR検査キット(手前)(ミズホメディー提供)


 今回、同大と同社が開発したPCR検査キットは、ピロリ菌に感染した疑いがある患者が自宅で採取した便を使って、約1時間でピロリ菌の感染診断と薬剤耐性の有無を検査することができる。患者は抗菌薬の服用による副作用の心配がなくなるほか、病院の検査は試料を滴下するだけでよく、特別な技術は必要ない。

 11月17日に同大で開かれた記者会見で、同大の垣内俊彦・診療准教授は「PCR検査キットを使えば、患者様の負担がすごく減る。ピロリ菌は若年時に除菌することで、より高い胃がんの予防効果が期待できるので、県民だけでなく、全国にも広げたい」と話した。


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