【大分】別府の冨士屋旅館が「ホテル」として再スタート!

 施設の老朽化に伴い約30年前にのれんを下ろした大分県別府市鉄輪地区の「冨士屋旅館」が、敷地内に新たな宿泊施設を設け、「冨士屋ホテル」として営業を始めた。4代目の安波治子さんは「宿で鉄輪の湯治文化を体験してもらいたい」と話している。

自分で蒸せる「地獄蒸しキッチン」も


開業した「冨士屋ホテル」。手前は国登録有形文化財の「冨士屋旅館主屋」

 木造3階建ての1階には、天然の蒸気で調理できる「地獄蒸しキッチン」があり、16口の「地獄釜」が並ぶ。宿泊客は自ら食材を蒸してその場で食べることができる。

 地獄釜を通って客室に行く鉄輪の昔ながらの湯治宿の構造にならった。他の客と顔を合わせることで、宿泊客同士の交流を促す効果があるという。

 2、3階には、TOJIROOM(2泊以上で1泊1人1万8000円から)、ツインルーム(1泊1人2万4800円から)など17客室を用意している。

「鉄輪の湯治 体験して」

 冨士屋旅館は1899年(明治32年)に創業し、1996年に旅館としての営業を終えた。

 2001年に国の登録有形文化財となった主屋(木造2階建て)は04年の再生工事を経て「冨士屋一也百(はなやもも)ホール&ギャラリー」となり、カフェや雑貨店、コンサートや別府特産の竹工芸体験の会場などに利用してきた。


地獄蒸しキッチンを紹介する安波さん


 一方、鉄輪地区では古くから療養などを目的に長期間滞在する湯治が文化として根付いている。安波さんは、これをホテルで体験できるようにしたいとも考えるようになった。


 ホテルは、敷地内にあった1968年建築の「新館」を取り壊し、国産間伐材の集成材パネルを組み立てるCLTパネル工法で新築。土壁にも天然素材を使うなど、持続可能性にもこだわった。

 安波さんは「鉄輪には、地獄蒸しに代表される食や街歩きといった、湯治をしてもらうための素材がたくさんある。鉄輪独特の文化を提案したい」と話している。

 問い合わせは同ホテル(0977-66-3251)へ。


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