絶滅危惧のウミガメを保護して海へ マリンワールド海の中道

タイマイのレントゲン撮影をする水族館職員=マリンワールド海の中道提供

 福岡市の水族館「マリンワールド海の中道」は、絶滅の恐れが高いとされるウミガメの一種「タイマイ」を保護し、この夏、福岡県福津市の浜から放流した。同館には衰弱して海岸に打ち上げられたり、漁網にかかったりしたウミガメが年に数匹持ち込まれるが、回復例は少なく、放流までこぎ着けたのは2年ぶりという。

 <タイマイ> インドネシアなどの熱帯や亜熱帯に分布し、日本では南西諸島に産卵地がある。甲羅は「べっ甲細工」に利用され、乱獲されたため、ワシントン条約で国際取引が禁止されている。成体は最大で甲長1メートル前後、体重80~100キロになり、長くて50年程度生きる。生育環境が悪化し、環境省が3月公表した第5次レッドリストでは、絶滅の危険性が2番目に高い「絶滅危惧1B類」から最も高い「1A類」にカテゴリーが変更された。

2年ぶりの放流

 同館によると、今回保護したタイマイは2月、佐賀県の伊万里湾に浮いて衰弱しているのを漁業者が見つけた。生後2年ほどで、低体温で肺炎なども併発していたことから、同館は抗菌薬注射や点滴などの治療にあたり、室温を25度に保った部屋で養生した。

 1週間ほどすると、イカやキビナゴの切り身を食べるまでに回復。さらに、約5か月間で甲羅は数センチ成長し、長さ約29センチ、幅約23センチに、体重は約2倍の約2.5キロとなった。このため、同館は海水温が高く生息域の環境に近い時期を選び、7月24日に福津市の浜に放した。

 同館は、これまでもウミガメを保護してきた。福岡近海でのウミガメの漂着情報は2019年以降で計46件寄せられており、タイマイも12件あった。ただ、冬季の発見が多く、既に死んでいたり、保護しても回復しなかったりすることもあり、放流は今回で13例目。元々は保護した場所で放流していたが、漁網にかかり再び保護するケースがあったため、19年からは放流地を福津市に移した。


砂浜を海に向かって進むタイマイ。前脚に識別用タグが付いている


無事に育って!


 放流では移動距離など生態を調査するため、脚に識別用のステンレス製タグとマイクロチップを付けた。浜に放され、海へ進んだタイマイはたちまち沖に姿を消した。同館の飼育員・山口絢子さん(47)は「無事に育ってくれるのを願うばかり」と感慨深げだった。

 ウミガメの調査に携わる研究者やボランティアらでつくる「日本ウミガメ協議会」(大阪府)によると、ウミガメは黒潮や対馬暖流に乗って太平洋や日本海側に漂着することがある。25年9月までの1年間に全国で約700件の漂着情報があり、うちタイマイは33件だったという。

 同協議会はウミガメを見かけた場合、事務局(072-864-0335)や最寄りの自治体への情報提供を呼びかけている。


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