島をあげて海をきれいに! 宗像・地島で住民参加による「脱合成洗剤」の実証実験
記事 INDEX
- 海洋環境への影響を調査
- 産学官4者と島民が協力
- 子どもや島の将来のため
入浴や洗濯、食器洗いなどに用いる合成洗剤の使用を島ぐるみで取りやめ、無添加せっけんに替えると、海の環境や生き物にどのような影響があるか――。そんな産学官連携の実証実験が、福岡県宗像市沖の地島で9月に始まりました。地域全体でせっけんを使う試みは珍しく、海洋環境の保全につながる成果が期待されています。
産学官4者と島民が協力
実験に取り組んでいるのは、シャボン玉石けん(北九州市若松区)と山口大大学院創成科学研究科、九州環境管理協会、宗像市の4者。期間は11月までの3か月間を予定しています。
島内の一般家庭全62世帯(7月末時点)と市立地島小、漁村留学の子どもたちの生活拠点「なぎさの家」に協力を呼びかけ、入浴や洗顔、手洗い、歯磨き、衣類の洗濯、食器洗いなどで合成洗剤の使用を中止し、替わりに合成界面活性剤や香料、着色料などを含まない同社の無添加せっけんを使ってもらいます。
そのうえで2週間に1回程度、島に2か所ある下水処理場で海に流す前の水や汚泥のサンプルを採取。洗浄剤の変更が生活排水に与える影響について、分析やデータ解析を進めます。
子どもや島の将来のため
川や海に流れた無添加せっけんは短期間で水と二酸化炭素に生分解され、せっけんかすは魚や微生物の栄養源となるため、環境への負荷が小さいそうです。
住民への説明会が8月23日に開かれ、生後4か月の長女を抱いて出席した女性(32)は「漁業が島の主な産業ですが、水揚げは減っています。娘や島の将来のために実験に協力したいです」と話していました。
実験結果は2022年以降に公表する予定です。シャボン玉石けんは「実証実験を通じて、漁業や環境保全、住民や今回のプロジェクトを知った皆さんの環境意識の向上に寄与していきたい」としています。