アジサイ新品種「月虹」が全国コンテストで最優秀賞に 久留米の組合が開発
記事 INDEX
- 躍動感、独創性に高評価
- 生産者6人が協力して開発
- 「これからも切磋琢磨」
福岡県久留米市の久留米花卉(かき)園芸農業協同組合が約4年かけて開発したアジサイ「月虹(げっこう)」が、花の新品種コンテスト「ジャパンフラワーセレクション」で、鉢物部門の最優秀賞「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2021」に輝きました。このコンテストで同農協が最優秀賞を受けるのは初めてです。
躍動感、独創性に高評価
コンテストは一般財団法人日本花普及センターが毎年実施。2021年は3部門に計139品種が出品され、鉢物部門にはシクラメンやクレマチスなどの58品種がエントリーしました。
月虹はピンク系とブルー系があり、いずれも細長くウェーブがかかった個性的な形の装飾花が特徴。花持ちが良く長く観賞できる点や、グリーンも交じる花色なども魅力で、審査では「従来のアジサイにはない躍動感と豪華さ」「独創性が際立つ」と高く評価されました。
生産者6人が協力して開発
月虹を手がけたのは、同農協の生産者団体「ハイドランジャーズフクオカ」(坂本和盛会長)です。「ハイドランジア」はアジサイを意味する英語。2014年に生産技術の向上を目指す有志が集まって団体を設立し、現在は筑後地区の農家6人がオリジナル品種の開発に取り組んでいます。
19年には、淡いピンク色のアジサイ「ふわり」が同じコンテストで優秀賞を受賞しています。
「これからも切磋琢磨」
月虹の開発を始めたのは16年。6人が協力して交配を重ね、何百種もの株の中から花の新奇性や病気への強さなどの観点から将来性のあるものを選び抜き、20年に完成させました。花名は月光がつくる虹「ムーンボウ」に由来し、見ると幸せになるというハワイの言い伝えを基に命名しました。
21年には全国の市場に1500鉢を販売し、「世界に通用する」との評価も寄せられたといいます。団体副会長の龍孝浩さんは「アジサイは栽培が難しく時間もかかりますが、高く評価されてうれしい。今後も仲間と切磋琢磨(せっさたくま)し、高品質な花を育てたい」と喜びを語っていました。