使い終わった草ストローをペンギンのベッドに! 循環型社会に向けて新たな一歩

草ストローを手にするオーレックの古賀さん(左)と佐々木さん

記事 INDEX

  • 農と食の発信拠点
  • 草ストローって?
  • 福岡市動物園で活用

 農業機械メーカーのオーレック(福岡県広川町)が運営する「オーレックグリーンラボ福岡」(福岡市中央区)は、草を原料とするストローの提供を店内のカフェで始めました。使い終わったストローを回収し、福岡市動物園のペンギン舎の寝床として再利用します。プラスチックごみを減らし、持続可能な社会をめざす新たな一歩です。

農と食の発信拠点

 福岡市地下鉄空港線の赤坂駅そばにあるオーレックグリーンラボ福岡は、農業や食の学びを深める場として2019年10月にオープンしました。全国に3店舗あるラボは、青森と長野が事業者向けであるのに対し、オフィス街に立地する福岡は消費者をメインターゲットにした営業形態をとっています。


農業や食の魅力を伝える「オーレックグリーンラボ福岡」

 1階のカフェでは、無農薬米で作られた「お米ラテ」(税込み550円)など身体にやさしいドリンクを販売。2階のライブラリースペースには、農業や食に関する約250冊の本をそろえ、ドリンクを飲みながら楽しめます。3階はイベントスペースで、「ハーブティー作り」「みそ造り」といったワークショップを定期的に開いています。


ポップアップショップの様子(提供:オーレック)

 生産者と消費者の橋渡し役も担っています。1階のスペースで開催されるポップアップショップでは、生産者が直接、野菜や弁当、お菓子などを販売します。添加物の使用を控えたものやオーガニックにこだわった商品が並び、人気を集めています。


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草ストローって?

 3月1日に提供を始めた草ストローは、東京農業大学の学生が代表を務める合同会社HAYAMIの製品。原材料は、ベトナムで栽培されたレピロニアと呼ばれる植物の茎です。無農薬で、保存料も使用しないため、安心して使うことができるそうです。


草ストローは店頭で購入もできる。20本で税込み408円

 2月の試験導入では、「紙ストローより好き」「環境のためにも続けてほしい」など好意的な声が利用者から寄せられ、正式採用に至ったといいます。記者も試してみると、プラスチック製と遜色(そんしょく)のない使い心地で、紙ストローでありがちな、味が移ったり、ふやけたりといったことはありません。


使い終わったストローは回収BOXに

 ドリンクを飲み終えたら、店内の回収BOXにストローを投入します。集まったものは、洗浄・消毒してから福岡市動物園に提供し、ペンギンの巣材として活用されます。オーレックの佐々木竜哉さんは「ゆくゆくはドリンクのカップもプラスチック以外の素材に変え、環境にやさしい取り組みを続けたいです」と話します。

福岡市動物園で活用

 3月30日には、福岡市動物園で使用済みストローの贈呈式があり、約390本を届けました。園では従来、巣材を購入していましたが、今後は月に1度のペースで草ストローが無償提供されます。オーレック経営総合部長の関雅文さんは「ストローを目に見える形で再利用することは珍しいので、巣にも注目してもらえたら」と話しています。


使用済みの草ストローを敷いた巣箱

 今回、ペンギン舎に30ある巣のうち2か所に草ストローの"ベッド"を設置しました。「循環型社会の発信につながる良い取り組みになります」と、園の広報を担当する福原佑介さん。今後、他の動物の巣にも利用できないか検討するということです。


福岡市動物園のフンボルトペンギン

 オーレックグリーンラボ福岡の公式サイトやSNSではイベント情報を随時更新しています。「草ストローで季節のドリンクを楽しんでもらえたら」と古賀有沙さん。レンタル農園での作付け体験や収穫体験を通じ、農業の魅力も発信していく考えです。




店名 OREC green lab 福岡
所在地 福岡市中央区赤坂1-13-1
営業時間 9:00~18:00
(定休日:日祝・月曜)
公式サイト オーレックグリーンラボ福岡

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