月に1度だけ開く「フシギ」の扉 那珂川市の山中に立つ「不思議博物館」
「不思議博物館」――。以前から存在は知っており、気にはなっていた。新緑の陽気にも誘われ、初めて出かけてみた。
その博物館は福岡県那珂川市の山中にひっそりと立っている。倉庫のような外観、開館は月に1度だけ、入館無料、「不思議子ちゃん」がいるらしい――。そんな、いくつもの不思議が渦巻いていた。
鋼鉄製の扉のそばで出迎えてくれたのは、カフェスタッフの不思議子ちゃん。「永遠の13歳」という設定が、さらに深い不思議の世界へ誘ってくれる。館内でまず目に飛び込んでくるのは、軽トラックくらいの巨大なクマムシ。本来は目に見えないほど小さな小さな生物だが、それを長さで1万倍に拡大した作品なのだという。
「不思議な物が好きな方は誰でも大歓迎」というこの博物館は、現代芸術家の角孝政さん(53)が2008年に開設した。
角さんは、福岡市の水族館「マリンワールド海の中道」のダイオウイカの模型や、JR小倉駅(北九州市)にある「銀河鉄道999」の車掌など多くの作品を手がけている。開館が月に1度なのは、依頼されたオブジェ制作に時間を取られるためだという。
虫に詳しい人、怪獣映画に詳しい人、ゲームに詳しい人などなど、常連は個性派ぞろい。毎回、様々な"興味"がブレンドされたディープな会話が展開されるという。
北九州市から訪れた看護師の青木明子さん(37)は「いつかは訪れたいと思っていて、ようやく念願がかないました。異空間にいるみたい」と、スマートフォンで盛んに写真を撮っていた。
6月は12日に開館する予定だ。