筑紫女学園大の学生がオリジナル絵本を制作 近隣の幼稚園や保育園に寄贈
筑紫女学園大学(福岡県太宰府市)の学生たちが、ストーリーからデザインまで手がけた絵本が今春、完成しました。学生らしい感性で子どもたちに寄り添う内容です。同大で、学生が絵本づくりを製本まで行ったのは初めてで、近くの幼稚園や保育園への寄贈を進めています。
三つのストーリー
制作したのは3作品。「めいちゃんのおさんぽ」「うんどうかいのひみつ」「うみのおくりもの」です。
5月20日には、筑紫野市立山家(やまえ)幼稚園に4冊ずつ贈り、贈呈式で4年の前川和(いずみ)さんが「うんどうかいのひみつ」を園児約20人に読み聞かせました。
前川さんら10人の学生で手がけたその絵本は、初めての運動会に不安でいっぱいの女の子が、ある"味方"の応援を受けて元気に楽しむストーリー。「最初の挑戦は誰でも緊張するし、怖い。そういう子どもたちの気持ちに寄り添いながら、やってみたら楽しいことがあるよ、というメッセージを込めました」といいます。
前のめりになって耳を傾ける子どもたち。聞き終えた女児は「トマトが大きくなったところがおもしろかった」と笑顔を見せました。前川さんは「絵本に集中してくれて感動しました。改めて、子どもと接するのはすてきな仕事だなと感じました」と手応えを感じた様子です。
授業から発展
同大では、幼稚園教諭や保育士を育成する一環で、2020年度から「認定絵本士養成講座」を行っています。絵本の1ページを考える課題などを通じ、「絵本を作ってみたい」という声が学生から上がり、今回の制作につながりました。
稲田八穂教授(教育学)が希望者を募ったところ、約20人が参加。昨年6月から、課外の時間にストーリーをまとめたり、絵を描いて色を塗ったりして、力を合わせて仕上げました。
コロナ禍で集まりにくい時期は、オンラインで意見を出し合うなどして作業を進めました。参加した4年の濵田愛唯さんは「絵本制作は初めてで、まとめるのは大変だったけれど、協力してすばらしいものができました」と振り返ります。
近年はデジタル教材なども普及しつつありますが、稲田教授は「絵本は子どもの情動など心の発育や、ことばの獲得、読み手との人間関係の構築に役立つ、温かい存在」と指摘します。
同大では各300部、計900部を作製し、同大がある太宰府市や近隣の幼稚園、保育園に配布しています。学生が実習を行う園にも寄贈することにしています。