笑っているのか?怒っているのか? 憎めない表情の埴輪が並ぶ筑前町の仙道古墳
筑後平野を望む小高い丘にある福岡県筑前町の仙道古墳。こんもり盛り上がった古墳の周囲には、なんとも憎めないユニークな表情をした埴輪(はにわ)のレプリカが並び、20代、30代の「古墳女子」らに人気のスポットになっている。
筑前町教育委員会によると、仙道古墳は6世紀頃に造られた二重の周溝をもつ直径49メートルの円墳。墳丘や周溝からは、九州では珍しい、盾を持った人型の埴輪「盾持武人(たてもちぶじん)埴輪」がほぼ完全な形で出土したことで知られる。
「笑っているのか、むすっとしているのか、不思議な表情」と言われる埴輪は、発掘調査による出土品を忠実に再現したレプリカ。円筒埴輪と一緒に、造られた当時と同じように古墳の周りを囲むように並んでいる。
石室は複室横穴式と呼ばれるもので、死者を埋葬する玄室(げんしつ)には、赤や緑の彩色で「○」「◎」「▲」の文様が描かれている。石室からは、多数のガラス小玉や、管玉などが出土したが、文様が何を表現しようとしたのかは謎だという。10月22日には年に1度の一般開放が予定されている。
明治時代に盗掘に遭い、石室につながる通路の大型の石など、多くが持ち去られていた。当時の有力者が庭先の石に転用した可能性もあるという。
1978年に国の史跡指定を受けた。現在は築造時の雰囲気を再現し、古墳公園として整備されている。一角には石室のレプリカもあり、自由に見学することができる。
歴史学習のほかに、古墳の傍らでパークゴルフなども楽しめる。まれにミスショットで、埴輪のレプリカが壊れてしまうこともあるそうだ。