歌って踊れる警察官ユーチューバー 動画で防犯を呼びかけ
若い世代にわかりやすく防犯への協力を呼びかけようと、福岡県警春日署 生活安全課の九日(くにち)勇人巡査長(33)が動画投稿サイト「ユーチューブ」での情報発信に取り組んでいる。自ら動画の撮影や編集にも挑戦。見た人の記憶に残るよう、歌って踊れる「警察官ユーチューバー」として軽快に詐欺などの被害防止策を伝えている。
わかりやすく軽快に
「『ATM行って』はニセ電話んわわん」
耳に残りやすい造語を盛り込み、軽快なラップ調の曲に合わせて歌って踊る九日さん。同署と防犯に関する協議会をつくっている自治体の職員らも出演し、犯人や被害者を演じながら詐欺の手口を紹介する。
歌詞や振り付けを自ら考え、演技指導、編集も行う。この動画の再生回数は、公開から5か月余りで7500回を超えた。県警の動画では一定の視聴数で、九日さんは「わかりやすく、心に残る動画を目指した結果」と手応えを感じている。
若い世代に届け!
「地域に根ざし、住民を守る警察官になりたい」と2012年に県警に入った九日さん。17年に筑紫野署山口駐在所に赴任した後、防犯教室を開くようになり、「面白くないと記憶に残らない」と考え、歌や踊りを交えて伝えてきた。
反応は上々だったが、新型コロナウイルス禍で住民と対面する機会は激減。そこで考えたのが動画配信だった。
昨春に春日署に異動してからも投稿し、これまでに、性犯罪への注意点を知らせる動画などを6本投稿。テレビ番組や有名ユーチューバーの投稿からテロップを入れるタイミングや色合いなどを学び、場面を細かく切り替えることで印象に残す方法を取り入れたという。
まじめな呼びかけが多い県警の動画の中では異色の存在だが、今では他の署から編集方法を尋ねられるまでになった。
ユーチューブでの配信に力を入れるのは、若い世代に周知する狙いがある。特にニセ電話詐欺は、子供らが日頃から高齢者に注意を呼びかけていると、被害を免れやすいという。九日さんは「見てて楽しいものにすれば、興味のない人でも心に残って被害を防げるはず。警察の型にはまらず、心に残る動画をつくりたい」と意気込む。