博多駅前にある激辛店で「殺人担々麺」に挑んできた

オフィス街の路地に出ている「殺人担々麺」の看板

記事 INDEX

  • 辛いだけじゃない
  • 看板商品を求めて
  • 激辛の道を究める

 オフィス街の路地に突如現れる「殺人担々麺」の文字――。黒地に赤、ホラー映画のタイトルを思わせる看板が、福岡市博多区のJR博多駅近くに立っています。飲食店らしからぬ"物騒”な看板を出しているのは、激辛好きが集まることで知られる中華料理店「陽華樓」。どれほど危険な辛さなのか、恐る恐る店を訪ねました。

辛いだけじゃない


赤を基調とした店内

 ドアを開けると、赤を基調とした店内に「殺人」「死神」などの文字が掲げられ、食べる前から刺激的な雰囲気です。天井には、店を訪れた著名人の色紙が所狭しと貼られています。

 早速、その「殺人担々麺」(税込み880円)を注文しました。出てきた器には、大きめのレンゲが添えられ、唐辛子を使った赤い薬味が盛られています。


噂の「殺人担々麺」と対面

 「スープを味わった後、薬味を少しずつ溶かして辛さを調整しながら食べてみてください」。店主の平山博文さん(54)のアドバイスに従ってまずスープをすすると、素材の様々な風味が溶け込んだうまみと甘みが口に広がりました。


辛さの中にも味の深みが感じられる

 薬味を溶かしていくと、スープはみるみる赤く――。初めはほんのり辛さを感じる程度でしたが、すべて溶かすと強烈な刺激に。唇や舌がしびれ、額から汗が噴き出してきます。

 ただ、こだわりのスープやもちっとした麺、もやしの食感などが、辛さの中に味の深みを生み出し、不思議と箸は止まりません。気づけばスープも飲み干し、完食していました。


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看板商品を求めて

 「陽華樓」は平山さんの父が1978年に創業。当時は競合する飲食店も少なく、繁盛していたそうです。しかし、平山さんが引き継いだ24年前には、ライバルが増えて競争も激しくなっていたといいます。


厨房に立つ平山さん

 店を継いで数年後、平山さんは父の時代にはなかった新メニューの研究を始めました。1年ほどかけて、現在も提供する「薬膳担々麺」が完成しますが、この新作もなかなか浸透せず、苦境が続きました。

 生き残りのために不動の看板商品が不可欠と考えていた平山さん。薬膳担々麺を食べた常連客の「もう少し辛くできないか」という言葉で、激辛に的を絞ったメニューの開発を思い立ちます。


殺人担々麺に添えられる薬味。興味を持ってもらうため唐辛子の種類は秘密という

 「せっかくなら、パンチの利いたものに」と、当時のギネス記録で「世界一辛い」とされていた唐辛子を薬膳担々麺に投入。インパクトある「殺人担々麺」の名前で、15年ほど前から提供するようになりました。

 テレビで特集も放送されていた激辛ブームに乗って、少しずつ注文が増え、刺激を求める客が訪れるようになったそうです。

激辛の道を究める

 その後、ギネス記録を塗り替えた唐辛子「キャロライナ・リーパー」を使い、殺人担々麺より3倍辛い「死神担々麺」(税込み1400円)を開発。さらに、その2倍辛いとされる「ペッパーX」を用いた「X-麺」(同3000円)をメニューに加えました。

 平山さん自身、痛くてもはや味がわからないほどの刺激だといいます。辛さへの徹底したこだわりがSNSなどで話題を呼び、今では「激辛の聖地」とも呼ばれる人気店になりました。


「名前以上に味がよくないといけない」と語る平山さん

 「激辛を求めるお客さんがいるので、やめるにやめられない。元気なうちは続けていきたいですね」と平山さん。「もっと辛い唐辛子が出てきて、お客さまが要望するなら……」と、さらに上もうかがっています。



店名 陽華樓
所在地 福岡市博多区博多駅前3-7-3
定休日 毎月第2土曜、日曜・祝日
営業時間 11:00~14:00
17:30~21:00
公式サイト 陽華樓

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