子どもの甘口を大人の味に 家庭内カレー問題を解決するスパイス

「大人のカレースパイス」を手にする長倉さん

記事 INDEX

  • 同僚の悩みからスタート
  • 給湯スペースで試行錯誤
  • 笑顔でカレーを食べて!

 辛いカレーが好きだけど、子どもに合わせて甘口を食べるしかない……。アイデア商品の開発などを行う「コウダプロ」(福岡市)が、そんな悩みを解決する「大人のカレースパイス」を商品化しました。甘口カレーにふりかけるだけでスパイシーな味に。開発者は「家庭内のカレー味付け問題に終止符を打ちます」と話しています。

同僚の悩みからスタート

 「家で作るカレーはあんまり好きじゃないんだよね……」

 同社の長倉裕美さん(48)は2年ほど前、休憩のランチのときに同僚が漏らした一言がひっかかりました。同僚には保育園に通う子どもがおり、自宅では甘口カレーを食べているとのこと。2種類作るのも手間がかかります。辛口が好きなママやパパの悩みを解決したいと、”おうちカレー”を手軽においしくする方法を探し始めました。


オフィスで働く長倉さん。商品開発は同僚の悩みから始まった

 2016年に設立され、社員20人ほどの同社は、化粧品や健康食品などの開発やコンサルティング業務を手がけています。「面白くてワクワクすること」をモットーに、アイデア商品の企画にも取り組み、飲酒した翌日もスッキリ感を得られるサプリメント、特殊な切れ込みによって唐揚げの油を吸収する紙などを開発してきました。


唐揚げを包み込むようにして油を吸収する「カラッとペーパー」

 長倉さんが調べてみると、完成したカレーの辛さを増す商品は食品メーカーなどからすでに発売されていました。ただ、原材料はコショウと唐辛子が中心で、店で食べるようなスパイシーな風味にはならなかったといいます。「辛みがアップするだけではなく、『おいしい!』と笑顔になるものを作りたかった」と長倉さんは話します。


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給湯スペースで試行錯誤

 挑戦を決意した長倉さん。手軽に使え、かつ風味が損なわれないようにと、使い切りのふりかけタイプを考案。専門業者からスパイスを買い付け、2021年秋から試作に取りかかりました。


業者から仕入れた数々のスパイス

 職場の給湯スペースの一角を”研究室”に、スパイスの配分量などを独自に調べました。0.1グラム単位で量を変え、試作品は100種類以上に。試作品をかけた甘口カレーと市販の辛口を何度も食べ比べ、「ほぼ毎日カレーを作って、同僚たちに実食してもらいました」と振り返ります。

 試行錯誤を重ねて22年3月末、社内の一部だけしか知らないレシピが完成します。黒コショウ、ガーリック、赤唐辛子のほか、コリアンダー、カルダモン、シナモン、陳皮など20種類の香辛料を使用。クミンは焙煎(ばいせん)するなどして外側をカリッと焼き、プチッとした食感も楽しめるようにこだわりました。


0.1グラム単位でスパイスの配分を調整した

 その後、さらに1年をかけて、サンプルを1か月ごとに開封し、味や風味に変化がないかも入念に確かめました。

 商品パッケージには、笑顔がかわいらしい女性のイラストが描かれています。「やさしさ」「懐かしさ」「かわいらしさ」を感じられるようにと長倉さんがイメージを考え、イラストレーター・こいしゆうかさんに依頼しました。


長倉さんが考えたパッケージの原案

 「『かわいい』って、家族で手に取ってもらえるものにしました」と長倉さん。原案を見せてもらうと、家族4人が楽しそうにカレーを食べている様子がたくさん描かれていました。

笑顔でカレーを食べて!

 製品が完成し、今年2月からクラウドファンディング「Makuake」のサイトで購入者を募ったところ、1か月ほどで311人から注文が入りました。「子育て世帯の待望の品!」「別々に作るカレーから解放される」「他の料理にもかけて使えそう」といった声が寄せられています。


商品化された「大人のカレースパイス」

 袋状で手軽に持ち歩け、弁当のおかずにかけたり、キャンプのカレーを本格風味にしたり、様々な使い方ができるのも喜ばれているそうです。長倉さんは、カレー味のカップラーメンや唐揚げにもおすすめといいます。

 「大人のカレースパイス」は製品の公式サイトから購入できます。「できたてのカレーにかけるだけなので、手間も洗い物も増えません」と話す長倉さん。「子どもも大人も家族みんなで、笑顔でカレーを食べてほしい」



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