うきは発「古墳カード」が各地に広がる 福岡県内20か所に

福岡県内各地の古墳カード(提供:古墳カード実行委員会)

 古墳や出土品を写真や説明文で紹介する古墳カードの配布が、福岡県内各地で広がっている。うきは市で3年前に始まった「九州古墳カード」の取り組みで、同市を中心に筑紫野市、小郡市など約20か所の古墳カードがこれまでに登場した。関係者は「古墳カードをきっかけに、各地の歴史や文化に関心を深めてもらい、観光振興にもつながってほしい」と期待している。

周遊の新しいツールに

 うきは市にある古墳カード実行委員会によると、同市には多数の古墳が残る。石室に絵や彩色を施した装飾古墳もあり、前方後円墳をデザインした料理や、装飾品のアクセサリーなどを販売している店も多い。

 同市では2019年、自転車で市内の古墳を巡るツアーを開催し、好評だったが、新型コロナウイルス禍で継続できなくなった。

 古墳カードは、同市でダム見学会などを企画した加藤晃一さんらがアイデアを思いつき、事務局を設立。同じ形式にしてファイルできるようにするため、フォーマットを用意し、九州各県の自治体などに参加を呼びかけた。


古墳カードで地域の歴史や文化を伝える活動に取り組む加藤さん


 加藤さんは「ダムやマンホールカードは、全国で熱心なコレクターがいる。九州は有名な古墳が多く、カードの種類が増えれば、うきは市だけでなく九州全体で新しい周遊のツールにもなるのでは」と強調する。


 うきは市では、月岡、塚花塚など7か所の古墳をカードにした。表面に古墳の外観や石室の写真、裏面には墳丘の大きさや築造年代、注目ポイントなどを載せている。カードは古墳の写真を撮影し、市内の吉井歴史民俗資料館や、古墳グッズなどを販売している指定店舗で提示すれば無料でもらえる。5種類以上を集めれば、特別なカードをもらえるキャンペーンも行った。

カードで生まれる交流

 県内では現在、筑紫野市(五郎山古墳)、宮若市(竹原古墳)、福津市(新原・奴山古墳群)など7市で配布。大牟田市と小郡市は在庫がなくなり、増刷を予定している。各地のカードは歴史資料館や指定店舗などで配ったり、カードのQRコードから古墳に関するアンケートに回答することを条件に手渡したりしている。


八女市の岩戸山古墳と出土品のカード


 八女市は今年5月から、岩戸山古墳のカードを岩戸山歴史文化交流館で開くイベントに参加するか、古墳の写真を提示した人に配っている。同館の檀佳克・事務主査は「東京や長崎から訪れた人もいる。今後も新たなカードを作っていきたい」と手応えを語る。

 加藤さんは「佐賀など他県からも、カード作製を検討しているという連絡がある。宿泊しながら各地の古墳カードを集める人が増えるようになってほしい」と話している。問い合わせは、実行委のメールへ。


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