個性とセンスが際立つ小倉織の御朱印帳が人気
記事 INDEX
- 現代によみがえった小倉織
- 小倉縞縞 × 甲宗八幡宮
- ギラヴァンツ優勝記念も
江戸時代の豊前小倉藩の特産品で、縦縞を特徴とする丈夫な綿織物「小倉織」。時代の流れの中、昭和初期に姿を消しますが、染色家の築城則子さんが1984年に復元し、築城さんがテキスタイルデザイナーとして手がけるブランド「小倉縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA」は洗練されたデザインが人気です。北九州市門司区の甲宗八幡宮では、小倉縞縞とコラボした御朱印帳やお守りを授与し、喜ばれています。
際立つ個性とセンス
小倉織は敵の攻撃から身を守れる丈夫さも武士の支持を集め、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」では「白い小倉袴」を坂本竜馬が着用している描写が出てきます。御朱印ブームが広がるなか、よみがえった小倉織に着目したのが甲宗八幡宮です。
独自の御朱印帳を授与している神社は数多くありますが、甲宗八幡宮の小倉織御朱印帳は個性とセンスが際立ちます。筆者も2種類を所有していますが、関東や関西などの神社で御朱印をいただく際、「素敵な御朱印帳ですね。どちらのですか?」と声をかけられたことが何度もあります。
甲宗八幡宮の宮司、大神(おおが)良彦さんが小倉織の授与品を作ろうと思ったのは、知人の勧めがきっかけでした。小倉藩主であった小笠原家が甲宗八幡宮を崇敬していた経緯があり、地域の歴史や文化とも紐づくことから、大神さんは作成を即断し、小倉縞縞に相談しました。ミーティングなどを重ねて約1年をかけ、小倉織の御朱印帳とお守りを完成させました。
「それまでも御朱印帳を作らないかという話はありましたが、ピンとくるものがなかったのです。ですが小倉縞縞のサンプルを見た瞬間、これだと思えたんです」。2017年12月に頒布が始まった小倉織の授与品は、小倉縞縞からSNSで発信されていたこともあり、予想を超える評判に。これには大神さんも驚いたそうです。
令和改元の記念授与品も
昨年の「令和」改元の際には、葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」の大波をイメージした柄の小倉織のお守り、御朱印帳、御朱印帳袋を作成しました。
「令和の記念に何か出したいと考えていたところ、北斎の没後170年にあたるということで、提案をいただきました。藍という色はデニムの色。日本のデニムといえば岡山ですが、岡山の綿織物は小倉織の流れをくんでいると言われています。歴史的なつながり、古さと新しさを同時に表し、新たな時代にふさわしいのではと思いました」と大神さん。この授与品も人気を博し、現在は御朱印帳袋のみになっています。
ギラヴァンツの「守り神」
甲宗八幡宮には、地元のJリーグチーム「ギラヴァンツ北九州」が必勝祈願に訪れます。ギラヴァンツは2019年、小倉縞縞の築城さんがデザインしたユニホームでJ3優勝を飾り、J2昇格を果たしました。神社では優勝記念の授与品も頒布しています。
実は、宮司の大神さんは大のサッカー好きで、ギラヴァンツの前身「ニューウェーブ北九州」時代からのサポーターでもあります。昨シーズン、発表された新ユニホームを気に入った大神さんは、同じデザインの授与品を作ろうと考えました。サポーターからも要望が寄せられたのですが、技術的に難しい面があり、「ギラヴァンツが優勝してJ2昇格を決めたときには記念品を作ろう」と考えていたといいます。
念願はすぐにかない、さっそく記念の授与品を作ることに。ギラヴァンツのチームカラーの黄色につながる小倉縞縞の新柄「檸檬(れもん)」で御朱印帳とお守り、御朱印帳を入れる巾着袋が完成。優勝記念のお守りは、今季の必勝祈願の際、ギラヴァンツの選手らにも配られたそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大がなお懸念されるため、神社への参拝が難しい人には、授与品の郵送にも対応しているとのことです。詳細は甲宗八幡宮のウェブサイトで確認してください。