コロナ休校明け初活動が梅の収穫 福岡農業高校の梅研究班がガチすぎる

福岡農業高校・梅研究班のメンバー

 地元特産の梅を使った商品開発に取り組んでいる福岡農業高校(福岡県太宰府市)の「梅研究班」。研究班が誕生して11年になり、企業とコラボしたヒット商品も数多く生まれています。今年は新型コロナウイルスの影響で活動が危ぶまれましたが、夏恒例の「梅サイダー」が無事に完成。逆境に負けない高校生たちを取材しました。


advertisement

太宰府といえば"梅推し"

 学校がある太宰府市は、学問の神様・菅原道真をまつる太宰府天満宮が有名です。境内にあるご神木「飛梅」は、九州に左遷された道真を追って飛んできたとの言い伝えがあり、参道の土産店では「梅ヶ枝餅」が人気です。もちろん、太宰府市の市章は梅の花がモチーフになっています。

 太宰府はとにかく「梅推し」です。万葉集「梅花の歌」が元号・令和の出典になったことも、梅推しに拍車をかけています。しかし今年は、新型コロナで全国の観光地の様相が一変。太宰府天満宮の参道も、いつものにぎわいがありません。

カルビーともコラボした梅(ばい)

 福岡農業高校は今年で創立142年の県立高校です。梅研究班には歴代、食品科学科の3年生が所属し、今年は9人で活動しています。

 研究班が誕生したのは2009年。特産の梅に着目した高校生の"尖った"アイデアが持ち味で、太宰府の地域活性化を活動目標に掲げています。

 これまでに、ドレッシングやジャムなどを商品化しました。2013年からはカルビーと共同開発した「ポテトチップス合格する梅(ばい)」シリーズを受験シーズンに売り出しています。西日本鉄道とのコラボによる「太宰府梅サイダー」は2016年から販売している夏限定の商品です。


2019年12月に限定販売された「ポテトチップス合格する梅 梅キムチ味」(提供:カルビー)


advertisement

休校明けの初活動が梅収穫

 梅研究班で活動したいと、入学してくる生徒もいるそうです。今年は新型コロナで3月から学校が休校に。研究班の活動も危ぶまれましたが、なんとか5月下旬に梅園での収穫作業を実施。これが研究班にとって今年度初めての活動になりました。


梅の収穫作業(提供:福岡農業高校)

 収穫後すぐにサイダー用の梅シロップづくりに取りかかり、約1か月かけて完成させました。研究班のメンバーは「シロップの色落ちを防止する温度管理に苦労しました」と振り返ります。


梅シロップの仕込み作業をする生徒たち(提供:福岡農業高校)

 今年の梅サイダーの出荷本数は、過去最高を記録した昨年の半分以下となる2万本です。売り上げの多くを占めていた太宰府天満宮の外国人観光客が激減していることを考慮したそう。新型コロナの影響はこんなところにも表れています。


advertisement

梅サイダーは天満宮参道などで販売中

 梅研究班の班長・大本ことりさんは「商品開発がしたくて入学したので、今後も新型コロナの不安はありますが、研究班の活動ができるようになってうれしいです」と笑顔。これから始まる企業とのコラボ商品もあり、「私たちの商品で地域を明るくしていきたいです」と語りました。


班長の大本さん

 西日本鉄道によると、太宰府梅サイダーは7月29日から太宰府天満宮参道の一部店舗や九州国立博物館ミュージアムショップ、「にしてつストア レガネット太宰府店」などで販売しています。200ミリ・リットルで1本250円(税込み)です。


今夏も発売された太宰府梅サイダー(提供:西日本鉄道)


advertisement

この記事をシェアする