輝く太陽のモザイクアート 1979年開業のサンセルコが放つ「美」の様式

 大型再開発が急ピッチで進む福岡市中央区の天神地区から南へ歩いて10分。渡辺通1丁目に立つ「サンセルコ 」は、再開発によって1979年3月に生まれた複合ビルです。天神の喧騒とは"距離"を置くこのビルは、開業当時のままの個性的なアートで彩られ、40年前の「時代の空気」を今に伝えています。


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タイルで太陽を力強く鮮やかに

 飲食やファッションの店舗、オフィスなどが同居する複合ビルとして誕生したサンセルコ 。その名称は、太陽を意味する英語「SUN」に、買い物(Shopping)、飲食(Eating)、宿泊(Lodging)、文化(Culture)、事務所(Office)の頭文字を組み合わせて付けられました。今は、地下1階にできた「渡辺通ゴールド免許センター」を目的に訪れる人も多いのではないでしょうか。


渡辺通りに面して立つサンセルコ

 施設を象徴する「太陽」に着想を得たモザイクアートが、縦3メートル・横7メートルの大きなタイル画『サンライズ』です。ビル3階に福岡支店を置く「名古屋モザイク工業」(本社:岐阜県)が制作・寄贈しました。およそ1センチ四方のタイルを壁面に敷き詰め、力強い太陽の光を色鮮やかに表現しています。


ビル3階の壁面を飾る『サンライズ』


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褪せないぬくもり、こだわり

 タイルをよく見ると、色によって材質が異なり、一つひとつの大きさや形もそれぞれです。支店長の柳ヶ瀬修さんによると、本社で職人が下絵を描いた上に1枚ずつタイルを貼ったあと、作品を30センチ角のシート状にカットして福岡に運び、現場で壁に貼り合わせて完成させたとのことです。


丁寧に敷き詰められた様々なタイル

 「40年前はモザイクアートが流行っていたようです。この作品を気に入り、店へ相談に来る方も多かったそうですよ」と柳ヶ瀬さん。その言葉を裏付けるように、作品からは手作業ならではのぬくもりが伝わり、当時の美意識や職人のこだわりが感じられます。


寄贈者もタイルで表記


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個性あふれるディープな空間

 オープンから40年あまりが過ぎ、空き店舗も目立つサンセルコ。福岡市地下鉄七隈線・渡辺通駅の開業などによって一帯の利便性は高くなり、ビル関係者の間では再開発に向けた話し合いも進んでいるとのことです。


施設内にある螺旋階段

 『サンライズ』だけでなく、オブジェや螺旋(らせん)階段など、サンセルコの装飾はどれも優美で個性的です。長年にわたって施設を支えてきた風格さえ漂います。


階段を照らす大きな照明

 再開発でにぎわいを増す福岡の街に期待が膨らむ一方で、役割を終えて姿を消していく施設も少なくありません。福岡の成長と歩みをともにしてきた施設に改めて目を向けてみると、つい見過ごしていた"発見"があるかもしれません。



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