福岡市の冬野菜を味わって!外食3事業者が期間限定メニュー

福岡市内産の野菜を使った期間限定メニュー

記事 INDEX

  • 「博多かぶ」など多彩に
  • シェフの技で大変身!
  • 生産者の思いを伝えて

 「都会」のイメージが強い福岡市で、おいしい野菜が育てられていることを知ってほしい――。市の呼びかけに応じ、市内で飲食店を営む3事業者が、地元のブランド野菜を使った期間限定メニューを2月初めから提供しています。関係者は「福岡市の野菜に愛着を持って、選んでもらえるようになればうれしい」と期待しています。

「博多かぶ」など多彩に

 福岡市によると、市内には2343ヘクタール(2023年時点)の農地があり、「博多かぶ」や「博多しゅんぎく」といったブランド野菜も多く生産されています。ただ、都市化や担い手不足の影響で、面積は2015年時点(2666ヘクタール)に比べて12%減るなど、農地は減少傾向にあります。


「博多かぶ」や「博多しゅんぎく」など市内産の野菜

 市は、農産物の消費拡大につなげようと、2023年度から市内の飲食店に地元野菜を使ったメニューの開発を打診。24年10月~25年1月には事業者が畑を訪ね、生産者から野菜の特徴や生育の工夫をじかに聞く「アグリビジネスツアー」を開催しました。

 ツアーに参加した事業者のうちピエトロなど3事業者が、2月から博多かぶ、博多しゅんぎくなど4種類の野菜を用いた新商品を限定販売しています。

シェフの技で大変身!

 事業者はピエトロ、ヒルトップリゾート福岡、ビストロマツシマです。用意した新メニューは、農家とのコミュニケーションなどから生まれた、今だけの特別な品となっています。

ピエトロ(天神ほか)

博多かぶと豚バラ肉のかぶみぞれペペロンチーノ


博多かぶと豚バラ肉のかぶみぞれペペロンチーノ

 西区金武を中心に生産されている博多かぶを主役にした一皿。みずみずしく、甘みのある博多かぶは、くし切りでほくほくとした食感が楽しめます。すり下ろしてみぞれ状にした博多かぶはパスタとよく絡み、うまみが堪能できます。メニュー開発者が、生産者から「豚肉との相性がいい」と聞き、誕生したとのこと。本店セントラーレ、ソラリア店(以上、天神)、キャナルシティ店(博多区)、長尾店(城南区)、次郎丸店(早良区)の5店で、2月末まで提供。レギュラーで税込み1408円、スモール990円。

 また、同期間、人気定番メニューのパスタ「トマトとモッツァレラの糸引きスパゲティ」とピザ「マルゲリータ」に「元岡トマト」を使用します。

ヒルトップリゾート福岡(中央区輝国)

博多しゅんぎくと眠り猪のパスタ


博多しゅんぎくと眠り猪(いのしし)のパスタ

 苦みやえぐみが少なく、サッパリと味わえる博多しゅんぎくの特徴を生かして調理。出汁(だし)でさっとゆでて盛り付けたほか、生のまま葉も茎もミキサーにかけて泡状のソース「エスプーマ」にして、まろやかさも感じられる一品に仕上げました。5階のイタリア料理店「ヒルトップダイニング」で、3月末までランチタイムのみ提供します。ビュッフェ付きで税込み3500円。

 なお、期間中は、ビュッフェのサラダ「イル・オルトラーナ」にも、博多しゅんぎくや「和白ねぎ」、北崎大根などの市内産野菜が使用されます。

和白ねぎと寒鰆の炙り


和白ねぎと寒鰆(かんざわら)の炙(あぶ)り

 鰆と和白ねぎの自然な甘みと香りを楽しめる一皿。白い茎部分は鰹(かつお)だしのあんと合わせてペースト状にし、青い部分は細かく刻んで特製ネギ醤油(しょうゆ)として使用。さらに、刻んで素揚げした和白ねぎをトッピングしてアクセントを加えました。このほか、博多しゅんぎくを使ったものなど2品も用意。3月末まで計3品が入れ替わりながら、4階「鮨(すし)・日本料理『暦(こよみ)』」で一部の会席料理に登場します。

ビストロマツシマ(博多区南本町)

博多冬野菜のグリルと真鯛のアクアパッツァ 〆はリゾットで


博多冬野菜のグリルと真鯛(まだい)のアクアパッツァ 〆(しめ)はリゾットで

 今が旬の福岡の冬野菜を、店自慢の鮮魚のアクアパッツァと合わせました。和白ねぎと博多かぶ、元岡トマトはグリルで焼くことで甘みをさらに引き出し、博多しゅんぎくはオリーブオイルでマリネして香りを引き立てています。タジン鍋で提供し、シメのリゾットでうまみを味わい尽くします。夜限定で2月末まで。税込み3800円。

生産者の思いを伝えて

 東区のベジフルスタジアムで1月30日に開かれたメニュー発表会には、生産者が招かれ、それぞれの野菜が採用された新商品を試食しました。


シェフの説明を聞きながら、笑顔で試食する生産者たち

 和白ねぎ農家の久保田郁一さんは「ネギをペースト状にした料理は初めてで、とてもおいしく、びっくりした」と笑顔。和白ねぎを出荷する組合のメンバーは減少傾向で、最近1人が加わったものの計5人にとどまるといい、「これを機にブランド力が高まり、担い手の確保につながっていけばありがたい」と期待していました。


試食に先立ち、和白ねぎを紹介する久保田さん(右)ら

 博多かぶ農家の冨永亮太さんは「今年は天候の影響で生産量が少なく、サイズも小ぶりだが、味は非常に甘く、とてもいい」と紹介。新鮮できれいなカブを届けるために、多くの農家が毎朝、暗い時間から収穫や手洗いの作業をしているといい、「今回のメニューを通して、カブと言えば金武、福岡市、と思ってもらえたらうれしい」と話しました。


博多かぶについて説明する冨永さん(右)ら

 市内産野菜の消費拡大に取り組む市農林水産局の森塚幸治・政策企画課長は「福岡市は政令市ですが農地もあり、各地で生産者がおいしい野菜を作っています。ただ、全国同様、後継者不足などの課題に直面しています」と説明。「市民に市内産野菜を選んで食べてもらい、ブランド力が高まることで、担い手の確保などにもつながれば。ぜひこの機会に魅力を知ってほしい」と呼びかけています。


「市内産野菜の魅力を知って」と呼びかける生産者や飲食店関係者ら



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