頑張るみんなを応援!女性による「食」のリレーで特別メニュー

国際女性デーを祝う特別ディナーコース「サークル オブ ウィメン」(提供:グランド ハイアット 福岡)

記事 INDEX

  • 国際女性デーに合わせ
  • 生産現場から厨房まで
  • 育児とも両立しながら

 3月8日の「国際女性デー」に合わせ、福岡市博多区のホテル「グランド ハイアット 福岡」が、“女性の活躍”に焦点を当てた特別なディナーコースを用意しています。開発を担ったシェフとパティシエ、バーテンダーの3人はいずれも女性。九州の女性農業者たちがつくった食材を中心に使い、頑張るすべての人にエールを送ります。

国際女性デーに合わせ

 国際女性デーは1975年、国連で記念日として祝うようになりました。この時期に黄色い花を咲かせるミモザは、女性デーのシンボルとして親しまれています。

 今年は50年の節目で、各地で記念の催しを企画。福岡県内では、福岡市で20歳代女性社長らの対談イベント(3月8日)や、久留米市で国連ハビタット福岡本部の星野幸代・本部長補佐官による講演(同9日)などが計画され、福岡県男女共同参画センター「あすばる」がホームページで紹介しています。


グランド ハイアット 福岡1階にあるレストラン「ザ マーケット エフ」


 同ホテルでは、これまでもミモザにちなみ黄色の制服を着用するなどの取り組みをしてきましたが、今年は初めて、記念日を祝う特別ディナーコース「サークル オブ ウィメン」を用意。レストラン「ザ マーケット エフ」で3月1~9日に提供(要予約)します。


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生産現場から厨房まで

 中心となって企画したのは、レストランのスー・シェフ(副料理長)として厨房(ちゅうぼう)に立つ荒川百花さん(30)です。女性農業者による農産物をふんだんに使用した料理を用意しました。

 ウェルカムドリンクは、やくしま果鈴(鹿児島県)のタンカンにアールグレイを合わせた一杯です。バーテンダーの安部絵莉子さんが考案しました。


ウェルカムドリンク「コロール」(左)と、タンカンを生産する「やくしま果鈴」のメンバー(メニューと生産者の写真はいずれもグランド ハイアット 福岡提供)


 前菜やメイン料理は、荒川さんが担当。前菜のサワラの炙(あぶ)りのカルパッチョは、鹿児島県の女性が栽培や搾り、輸送まで工夫を凝らして届けるオリーブオイルを「主役」と位置づけます。


「ウフブルイエ」(左)と、あかね農場


 女性が農場長を務める「あかね農場」(福岡県飯塚市)の卵は、フランス風スクランブルエッグ「ウフブルイエ」に。スープには、夫婦で営む白木牧場(同県嘉麻市)による国の認証を得た「特別牛乳」を使用。メインの肉料理は、女性農家が育てた鶏「天草大王」(熊本県)を丁寧に調理し、魚料理に用いる有機栽培のレモンは広島県の女性が営む農園から調達しました。


「姫コッコ倶楽部の天草大王ロティ マデラソース プロヴァンサル仕立て」(左)と、女性農家が育てた天草大王


 デザートは、パティシエの栃原麻菜美さんが手がけました。女性従業員が活躍する平川いちご農園(佐賀県)のイチゴ「いちごさん」などを使ったコンポートに、ムースとバニラアイスをのせた見た目も鮮やかな一品です。


「レディメルバ」(左)と平川いちご農園のメンバー


育児とも両立しながら


特別ディナーコースを考案した(左から)栃原さん、荒川さん、安部さん(提供:グランド ハイアット 福岡)


 企画の中心となった荒川さんは福岡市出身。幼い頃から料理が好きで、高校を出て調理専門学校へ進むと、女子は4人に1人ほどしかいなかったそうです。「レストランで働きたい」と考えていましたが、周囲から「ホテルは労働環境が整っている」と薦められ、2015年にグランド ハイアット 福岡へ入りました。


企画について語る荒川さん


 最初に配属された宴会場のキッチンは女性が2割ほど。大人数分を調理するずんどう鍋やフライパンは、かなり重く感じましたが、先輩たちに助言をもらいながら「女性の力でも動かせるコツが身についた」そうです。18年に異動した現在の職場では、段階的に仕込みの準備、前菜などの冷たい料理、そして火を扱う調理を任されるようになりました。


ステップアップして火を扱う調理も担うように


 21年に長男(3)を出産し、その前後で産休・育休を取得して、22年9月に復職。職場の基本的なシフトは朝5時からの早番か、14時からの遅番ですが、荒川さんは8~17時の時間帯で勤務しています。


 子どもは保育園にみてもらいつつ、シングルマザーながら繁忙期には残業もこなします。家族の食事は休日に準備しておくなど、工夫して乗り切っているそうです。


「お客さまの顔がよく見える」というオープンキッチン


 仕事の“舞台”となっているザ マーケット エフのオープンキッチンは、来店客の表情がよく見えるといい、「うれしそうな表情を目にしたり、直接『おいしい』と声をかけていただいたりするのも、ありがたいです」とにっこり。「向上心が高く、チーム全体に気を配って『どうすればゲストにより満足していただけるか』を常に考えている。そして、全ての人に感謝の気持ちを持って仕事をしている」(料理長)と社内での評価も高く、24年12月にスー・シェフに昇格。「責任が増え、背筋が伸びる思い」と気を引き締めます。


「料理を通じて元気づけられたらうれしい」


 国際女性デーのコース料理を準備する中で、活躍する多くの女性農業者を知ったといい、「私も頑張ろうと改めて思いました。食材がなければ料理は始まらず、感謝を込めて調理しました」。今回の料理に「すばらしい作物と生産者を広く発信したいし、女性も男性も元気づけたい」と願いを込めます。


 ディナーコース「サークル オブ ウィメン」は、3月1~9日の17時30分~21時(1、7、8日は22時まで)に提供。1人1万1500円(税・サービス料込み)で、予約(オンラインか電話=092-282-2803)が必要です。ザ マーケット エフのウェブページで詳細を紹介しています。

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