宗像の鮮魚を新幹線で関西へ! 「食のまち」への誘客にも期待

事業開始を祝うイベントで笑顔を見せる関係者(大阪市で、JR西日本提供)

 福岡県宗像市とJR西日本などが連携し、水揚げされた鮮魚を関西圏に届ける定期輸送事業に取り組んでいる。大阪府内の水産業者へ毎週納品しており、JR西の新幹線を活用した食品の定期輸送は初めて。玄界灘の新鮮な魚のおいしさをPRし、宗像への誘客にもつなげる狙いだ。

初めての定期食品輸送

 福岡市博多区のJR博多駅ホーム。鹿児島中央発新大阪行き「さくら546号」が6月下旬の午前に到着すると、担当スタッフが発泡スチロール製の箱五つを「車内販売準備室」に素早く積み込んだ。


箱詰めされた宗像の鮮魚を新幹線に載せる担当スタッフ


 箱の中身は鮮魚約50キロで、夕方までに大阪市のJR大阪駅直結の商業施設に到着。食品販売スペースで事業開始を祝したイベントが開かれ、届いたばかりのアジやスズキなどをさばき、用意した試食用の60皿はあっという間になくなった。宗像市の担当者は「朝まで生きていたので鮮度抜群。多くの人に堪能してもらえてよかった」と話した。


 事業は地域活性化や交流人口拡大を目的に、宗像市とJR西、同社関連2社が協力し、水産物小売専門店「大起水産」(堺市)に週1回、水産物を納品する。宗像市は玄界灘に面し、海の幸に恵まれている。市は世界文化遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」だけでなく、「食の豊富さ」でも認知度を高めようと定期輸送で関西圏へのPR強化を図ることになったという。

新鮮なまま当日中に!

 ヒラマサやイサキなどがその日朝に漁港で水揚げされ、旬の魚約50キロをJR博多駅まで業者がトラックで運搬。JR西側が受け取り、新幹線に載せて大起水産の店舗へ届ける。市によると、関西圏への輸送はトラックの場合、早くとも翌日の到着となる。一方、新幹線を活用することで現地に近い鮮度、味わいを当日中に届けられる。

 市とJR西は事業の定着を目指しており、頻度や量の拡大も検討する。トラック運転手の労働時間の規制が強化された「2024年問題」の軽減にもつなげたいとしており、JR西の担当者は「食の魅力をそのまま伝えられる。宗像を訪れてもらうきっかけにもつなげたい」と話す。


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