趣味や思いもみんな共有!広がる「コンセプトシェアハウス」
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記事 INDEX
- 猫と一緒「ねこ長屋」
- 元旅館で起業を目指す
- 自給自足の生活を実践
一つの住居で、台所や居間などを共有しながら他人と暮らすシェアハウス。近年は、同じ趣味や目的を持った人たちが集まるスタイルも広がり、「コンセプトシェアハウス」と呼ばれている。
猫と一緒「ねこ長屋」
福岡市南区に2022年10月にオープンした「ねこ長屋」は、猫と暮らせる女性専用のシェアハウスだ。現在は猫4匹が住み、共有スペースのリビングには爪研ぎやキャットタワーなど猫用家具を備える。餌やりなどの世話は、入居者の当番制にしている。
個室は4部屋(月5万5000円から)あり、すでに満室。「猫を飼いたいが、仕事があり一人では十分世話ができない」「初めてなので誰かと一緒に世話をしたい」などの問い合わせが寄せられており、今月入居する会社員女性(26)は「猫を飼ったことがなく、一緒に暮らせるのが楽しみ」と期待する。
猫はいずれも保護猫で、運営する福岡市の「南進住宅」は今春、福岡県篠栗町にも同様のシェアハウスを開く。同社取締役の廣田左希子さんは「殺処分される猫を少しでも減らすことに役立ちたい」と話す。
元旅館で起業を目指す
大分県別府市には起業家シェアハウス「SEKIYA.so」がある。5階建ての元旅館で、客室を居住用に利用。起業や社会問題の解決に関心がある学生らが入居している。相部屋2万9000円など。運営するのは大分大学生の寺本聖さん(24)で、「ネットワークを広げられるような場をつくりたい」と21年10月にオープンした。
起業家を招いて体験談を聞くなどのイベントを毎月開いている。昨年11月に入居した立命館アジア太平洋大学の学生佐藤豪さん(19)は「ここに住んでいると、IT、建築、アートなど多様な人と出会えて幅広い情報が集まる」と楽しそうだ。
自給自足の生活を実践
福岡県糸島市の棚田に囲まれた「いとしまシェアハウス」は、緩やかな「自給自足」に取り組む。米や野菜を育て、狩猟で仕留めたイノシシの肉や飼育する鶏の卵なども食卓にのぼる。入居者は田植えや稲刈り、暖房用のまき割りなど、できる作業を担っている。
運営しているのは住民でもある畠山千春さん(37)と夫の志田浩一さん(38)で、10年ほど前に糸島に魅せられて関東から移住し、築約70年の古民家をシェアハウスに改装した。
神社の祭りや清掃といった地域活動にも積極的に参加しており、2人は「田舎暮らしは大変なことも多く、それを楽しめる人に向いている。まず体験してみて」と勧める。相部屋3万5000円など。いとしまシェアハウスでしばらく暮らしてみた後、本格的に移住を決めて近くに移り住むケースも多いそうだ。
魅力は「安い」から「交流」へ
一般社団法人日本シェアハウス連盟の市場調査ではシェアハウスは2022年5月現在で全国に約5600棟あり、13年の約2700棟からほぼ倍増した。
全国に60棟以上を展開する「Hidamari(ひだまり)」(熊本市)によると、かつては「一人暮らしより安い」との理由で住む人が多かったが、近年は多様な人との交流に魅力を感じて選ぶ人が増えた。
棟数の増加とともに、差別化を図るため「IT好き」「アーティスト向け」などのコンセプト(考え)を打ち出す物件も登場。代表の林田直大さん(36)は「趣味や目標が同じだと親しくなりやすい。共同生活をより充実させたい人に向いているようです」と説明する。
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