大牟田で刀剣の企画展 国宝を作刀した「三池派」を紹介

 日本刀の国宝「大典太光世(おおでんたみつよ)」を作刀した三池典太光世ら「三池派」が手がけたとされる刀を紹介する企画展「三池が生み出した刀たち」が、福岡県大牟田市宝坂町の「カルタックスおおむた」内の市立図書館と三池カルタ・歴史資料館で開かれている。

太刀「三池典太正国作」実物など展示


展示された刀剣に見入る来館者たち


 市立図書館によると、典太光世は平安時代後期、筑後三池に住んでいたとされ、同市内には、屋敷跡と伝わる場所や、墓碑とされる石が残っているという。三池派の刀匠たちは近辺で採取した砂鉄などを使って刀を作っていた。三池派の流れは室町時代末に途絶えたという。

 歴史資料館の会場には、室町時代に作られた太刀「三池典太正国作」(長さ75.2センチ)と、脇差し「典太作」(同35.7センチ)の実物を展示。太刀は均整の取れた豪壮な刀で、地鉄は九州物らしい柔らかい印象で、少しでも軽くするため、刀身には「棒樋(ぼうひ)」という細い溝が彫ってある。いずれも県外にあった物が、約20年前に戻ってきたという。

 ほかに、写し(複製)の太刀2振りも展示している。「天下五剣」の一つとされる平安時代後期の「大典太光世」の写しは2002年、大牟田市在住の三池住四郎國治が精魂を傾けて精密に再現した名作。徳川家康の愛刀として知られる「無銘光世作(ソハヤノツルキ)」は、家康の臨終間際までそばに置かれたという。

刀剣乱舞グッズやギャラリートークも

 図書館では、各地に残る三池派が関わった太刀や短刀など5振りの写真と解説を記したパネルなどを展示。人気オンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」のグッズ販売もある。

 山田元樹・図書館長は「大牟田三池地区の刀剣に関する歴史を知り、刀の美しさ、力強さを実感してほしい」と話している。

 1月13日には山田館長と坂口優美・日本美術刀剣保存協会会員によるギャラリートーク(予約不要)も開催する。

 会期は2月2日まで。入場無料。1月14、20、27、30日は休館。問い合わせは大牟田市立図書館(0944-55-4504)へ。


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