鳥獣情報を地図上で「見える化」 福岡県がシステム運用
野生鳥獣による農作物や人的被害に歯止めをかけようと、福岡県は1月14日、「県鳥獣被害対策システム」の運用を始めた。市民らの目撃情報や捕獲情報を地図上にデータ化した全国初のシステムで、効率的な捕獲や注意喚起につなげる狙いがある。
システムはスマートフォンやパソコンで誰でも目撃情報の投稿が可能。投稿用の画面で場所や日時、動物の種類、被害などを選択すると、地図上に反映される。サルやイノシシといった動物の出現エリアが視覚的に確認でき、人的な被害の防止に役立ててもらう。
捕獲情報が地図上で確認できるのも特徴だ。日時や場所、動物の種類を蓄積して傾向がわかれば、これまで猟師らの勘に頼っていたワナの設置などを、地図上のデータに基づいて効率的に行うことが可能になる。
県によると、2024年4~12月の人的被害は、サルが12件、イノシシが5件確認されている。農作物の被害も深刻で、23年度はブドウや柿といった果樹を中心に、全国で2番目に多い約6億円の被害があった。
システムの利用は無料で、県のホームページから閲覧できる。県民のほか、市町村や県警、猟友会などにもシステム活用を呼びかけ、データの蓄積を図る方針だ。投稿内容は随時、県がチェックしていくという。
県経営技術支援課の担当者は「活用を進めることで、農林水産物の被害防止や子どもの見守りなどで先手を打つことができるようになる。積極的な投稿をお願いしたい」と話している。