近年増加している豪雨被害の防止を目的とした香椎川(福岡市東区)の河川改修工事で、福岡市は1月23日、トンネル状の地下河川(バイパス水路)の掘削工事を本格的に始めた。増えた川の水を地下河川を通じて下流に流し、周辺への浸水被害を防ぐ。地下河川の整備は市では初めてで、総事業費は約50億円。2026年3月の完成を目指している。
1999年にJR博多駅構内などが水没した大雨の際には、香椎川一帯でも26戸に浸水被害が出た。その後も被害が報告されている。市は2018年までに下流域の河川改修工事を終えたが、香椎宮の北側からJR香椎駅の南側までの区間は、JRの本線やマンションなどが密集して河川の拡幅などが難しく、地下河川で対策を講じることにした。
地下河川は地上から深さ約15メートルの香椎川の下を通る。直径は約4.5メートル、長さは約713メートル。川の水位が20センチ以上増えると地下河川に流れ込む仕組みで、下流でもう一度香椎川に放流される。シールドマシンと呼ばれる掘削機を使って1日約9.6メートルを掘り進め、24年7月頃には掘り終える予定だ。
23日にはシールドマシンの発進式が行われ、高島宗一郎市長らが起動ボタンを押して作業を開始した。発進式に参加した香椎校区自治協議会の藤田和仁会長(74)は「最近豪雨が増え、住民が心配していた。地下河川の完成で不安が解消されるのでとてもうれしい」と歓迎していた。