築上町が新生児に「京築ヒノキ」のおもちゃをプレゼント

 福岡県築上町は2025年度、町内産の「京築ヒノキ」で作ったおもちゃなどを町で生まれた赤ちゃんに贈る「森からのおくりもの事業」を始める。町域の6割を森林が占め、良質なヒノキを産出することを生かした取り組みで、森林保全などを目的に国から自治体へ配分される「森林環境譲与税」を財源に充てる。町の担当者は「木のぬくもりを通して郷土愛を育みたい」と話している。

「森からのおくりもの」

 国によると、森林環境譲与税は2019年度に導入され、23年度は市町村と都道府県で総額464億円が活用された。使途は間伐など森林保全が最も多く、木材利用の促進や普及啓発が続くという。山口県防府市や和歌山県かつらぎ町では、同税を財源とし、地元の木材製の積み木を子どもに贈っている。

 築上町ではこれまで、森林で伐採した樹木を運搬する作業道の補修費や、放置竹林の伐採費に充ててきた。「おくりもの事業」は、人口減少が進む町が取り組む子育て支援策の拡充を兼ねて開始する。


「森からのおくりもの」を紹介する町職員

 京築地区で産出されるヒノキは「京築ヒノキ」と呼ばれ、年輪幅が小さく色合いがきれいな特長を持つ。「おくりもの」は非売品で、▽調理器具などを模した「ままごとセット」▽らせん構造の台にボールを転がす「スロープトイ」▽トラック形の収納箱付きの積み木▽子ども用の机・椅子セット▽乳歯の保管ケース――の計5種類を用意した。一つ3万円相当という。

 製作は豊築森林組合が同町内で運営する「京築ブランド館」の職人が担当。木目や木の風合いを生かして仕上げ、角は丸くしてある。希望に応じて名前やメッセージなどを無料でレーザー刻印できる。

 町は25年度、事業費として300万円を計上。4月1日以降に子どもが生まれた町内の家庭にカタログを届け、一つを選んでもらう。旧築城支所を改修して11月22日に開館する町図書館「築きのもり」で、7か月健診日以降に引き渡す予定としている。

 町産業課の担当者は「自然や物を大切にする気持ちを育むため、譲与税を活用して木材の利用促進を図る取り組みをさらに考えていきたい」と意気込んでいる。問い合わせは同課林業水産係(0930-56-0300)へ。


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