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美しい鉱物が並んだ"宝石箱"のようなお菓子「こうぶつヲカシ」。福岡市南区の「ハラペコラボ」が手がけるこの商品は、寒天や砂糖などを混ぜた和菓子「琥珀糖」で作られ、食べることができます。誕生の経緯を代表の野尻知美さんに聞きました。
ホームパーティーが活動の起点
住宅街のマンション1階にある「ハラペコラボ ミュージアムショップ&カフェ」。店舗、キッチン、工房、事務所が連なり、ラボの活動のほとんどがここで行われています。店内は、趣のある家具や照明、ドライフラワーで演出され、様々な「こうぶつヲカシ」のほか、オリジナル文具や生活雑貨が並んでいます。
多彩な商品をうみだす野尻さんは、多摩美術大学で建築やインテリア、造形といった「空間」のデザインを学び、東京で就職。仕事では、理想と現実の間でフラストレーションを抱えることも多く、それらを解消しようと、友人と食卓を囲むホームパーティー「ハラペコ会」を企画していたのが、活動の起点になったそうです。
「食とアート」のケータリング
仕事柄、パーティーに参加する機会が多かった野尻さんですが、会場の食事に感動することは少なく「きれいなものに囲まれても、お腹が満たされないとさみしい」と感じていたそう。2009年、福岡への転勤を機に一念発起。おいしく、見た目も華やかな料理のケータリングをしようと、仲間に声をかけて本格的な活動を始めました。
評判は口コミで広がり、仕事も増えていきました。活動の場を広げていた2017年、「鉱物をテーマにお菓子をつくれないか」という注文が寄せられます。
野尻さんは琥珀糖を用いて、鉱物に見立てた和菓子を考案。箱にもこだわり、高級感のあるデザインを施しました。こうして誕生した「こうぶつヲカシ」は瞬く間に完売。優美な世界観と繊細な味が反響を呼び、ハラペコラボの代表作となりました。
女性たちが活躍する場を全国に!
「おいしいものに恵まれた福岡は舌が肥えている人も多く、華やかさだけでは通用しません」と語る野尻さん。一方で、仕事と丁寧に向き合えば「作品をきちんとキャッチしてくれる土地でもある」と話します。
現在、ラボを支えているのは約40人の女性スタッフ。おいしさは料理人やパティシエなど食の専門家を中心に追求していますが、日々変わらず安定した味わいを紡ぎ続けるのは、家事や子育てに奮闘しながら業務に携わる彼女たちなのだそうです。
ラッピングペーパーやフードプレートには「忙しいお母さんの負担にならないように、イベントや記念日を華やかに演出できれば」という女性ならではの気配り、母親らしい視点のアイデアが散りばめられています。
野尻さんは「女性だけで事業が成り立つことを体現したい」と話し、「いろいろな地域に同じような会社ができるとうれしいですね」と声を弾ませました。
店名 | ハラペコラボミュージアムショップ&カフェ |
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所在地 | 福岡市南区大池1-26-7 義道ハイム1F |
営業時間 | 11:30~16:00(土日・祝日は定休) |
電話番号 | 092-710-1136 |