松崎住職に聞いてみた バズりから日本社会まで【前編】

きっかけはお寺業界への危機感


――これまで話題になった投稿は?

 ニホンミツバチがお墓に巣を作ったのを助けてもらった投稿、北九州マラソンで勝手に応援エイドステーションを出した投稿、クリスマスやハロウィーンの投稿も拡散されました。最近はフォロワーが増えたこともあり、比較的拡散されやすくなっています。

――近年、情報発信を頑張るお寺も増えてきた印象があります。

 危機感ですね。お寺って、意外と良いことをしているんです。お年寄りが集まるコミュニティーですし、心のよりどころにもなっています。子どもに礼儀作法などの道徳的なことを教える場でもあります。知られていないだけです。お寺は全国に7万5000軒以上あり、コンビニよりも多いです。お寺はきちんと発信しないといけません。

コンビニエンスストア数 5万5724軒(参考:一般社団法人「日本フランチャイズチェーン協会」コンビニエンスストア統計調査月報)。仏教系寺院数 7万6946軒(参考:文化庁宗教統計調査)

――永明寺では定期的にマルシェを開いて、若い人も訪れていますね。

 「おてらマルシェ」は5年目になります。お寺の垣根を低くする取り組みです。お彼岸のときには、お供え物をフードバンクに寄付する活動もしています。寄付する食料品は年々増え、今年は90キロくらい集まりました。


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僕はお見合いコーディネーター

―SNSで松崎さんを知った人だと、ちょっと変わった愉快な住職という認識でしょうか。

 僕はよく「実際に会ったら面白くないんですね」と言われます。僕の最終的なおつとめは、仏教の教えを伝えることです。でも、僕が何かを伝えようとは思っていません。「こっちを向いて」と呼びかけて、お寺に来てもらうところまでが仕事だと思っています。そこから先は僕の責任じゃない。あとは仏さんの責任なんで。僕は教祖じゃないし。

 仏さんと接しやすい環境を整えて、ご縁があれば仏さんのお話を聞いてもらえるだろうし。お見合いコーディネーターと一緒。うまくいく、いかないは、当人たちの問題です。僕が素晴らしい僧侶として何かを発信しようとは思っていないので、ネットでたたかれても平気。僕は偉くないので。

――読者にも少しずつ松崎さんの人となりが伝わってきているはずです。さらに「ふかぼりインタビュー」させてください。インタビューの続きは【後編】へ


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