廃棄されるパンの耳を活用 門司港レトロビール「ブレッドヴァイツェン」
記事 INDEX
- 1日100キロのパンの耳
- まろやかな小麦の風味
- おいしく飲んで環境考えて
北九州市の地ビール製造販売会社「門司港レトロビール」が、地元のクラウン製パンと協力して、食パンを使ったビール「ブレッドヴァイツェン」を開発しました。廃棄される「耳」の部分を活用しており、フードロスの削減にもつながる商品です。
1日100キロのパンの耳
クラウン製パンは、北九州市内の学校給食用に食パンを作っています。パンをスライスする際に出る両端の耳は廃棄しており、家畜の飼料になっていました。その量は多いときには1日100キロに上るといいます。
その新しい活用方法を模索する中で、紀元前のメソポタミア文明の時代に、パンを使ったビール作りが行われていたことなど、ビールとのつながりにたどり着き、門司港レトロビールに相談を持ちかけたそうです。
まろやかな小麦の風味
門司港レトロビールは、小麦麦芽の代わりにパンを用いる「ヴァイツェン」の開発に着手。パンを使用した商品は、ビールではなく発泡酒の扱いになるため、発泡酒の製造免許を新たに取得しました。
パンの大きさや投下する時間などを研究して完成したビールは、麦芽全体の1割ほどにパンの耳を使用しています。通常よりもまろやかで、パンらしい小麦の風味が感じられる仕上がりになりました。
おいしく飲んで環境考えて
7月から350ミリ・リットル缶(550円)の販売を限定4000本で始めました。売れ行きは順調で、フードロスの問題に向き合う食品メーカーなどからの問い合わせもあるといいます。夏休みが終わって学校給食が再開し、パンの耳が出るようになれば追加生産も行う予定とのことです。
門司港レトロビール醸造部長の峯松幸之助さんは「廃棄されていたパンの耳が有効活用できると知ってもらえるだけでも意味があると思います。おいしく飲んでいただき、環境のことも考えてもらえれば」と話しています。
購入は北九州市内の酒店や土産店、オンラインショップで。