松崎住職に聞いてみた バズりから日本社会まで【前編】

記事 INDEX

  • きっかけはお寺業界への危機感
  • ツイートでは仏教をおとしめないように
  • 僕はお見合いコーディネーター

 ツイッターで数々の「バズり」を生み出す住職が北九州市にいます。北九州市八幡東区にある浄土真宗本願寺派「永明寺」の松崎智海住職です。どうしてそんなに攻めたツイートを続けるのでしょう。背景には、現代のお寺をめぐる危機感があるそうです。ツイッターではおちゃらけた印象のある松崎さんですが、会って話すと実直でまじめな人。松崎さんのインタビューを2回に分けてお届けします。

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松崎智海さん

永明寺住職。1975年生まれ。ツイッターアカウント「松崎智海(非売品僧侶)@浄土真宗本願寺派♪永明寺住職」はフォロワー数が約1万8400という仏教界のインフルエンサー。


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ボヘミアン・ラプソディや吉本騒動も

――松崎さんのツイッターは話題になることが多いです。

 ツイッターは2016年2月から始めました。最近だと、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーのポーズをまねた投稿がバズりました。吉本興業の騒動が起きたとき、ダウンタウンの松本人志さんがツイッターに投稿した「松本 動きます。」は、アレンジして9.9万「いいね」をいただきました。

――どうしてそこまで「攻めた」ツイートを連発するのですか。

 お寺の発信力を高めたかったからです。僕は元高校教諭で、高校では入試広報を担当していました。中学校を訪れて、「受験してください」と頭を下げる営業です。でも、お寺はそういった広報活動をほとんどしてきませんでした。

 どんなにすばらしい活動をしても、どんなにすばらしい教えがあっても、存在していることを世間に知らしめないと、情報があふれる現代社会では埋没します。昔々のメディアが存在していない時代、大きな伽藍があればそれだけでアピールできました。現代、マンションに囲まれたお寺の存在を誰も見つけてはくれません。巨大なお寺を建てられればいいですが、お金がありません。テレビCMを流せればいいですが、お金がありません。SNSは無料で使えます。そこに、目にとめてもらえる工夫をしています。お寺の広報活動です。

デザインや動画も独学で習得

――デザイン系ソフトを駆使してますよね。

 学校は貧乏です。お金がないので、広報資料も自分でつくるしかありません。なので自分でパンフレットやチラシをつくります。デザインや動画編集の技術は教諭時代に独学で学びました。

――発信のタイミングが絶妙ですよね。流行に乗っかって。

 僕にはゼロから創る才能はありません。だから、人のものをまねるしかない。多くの人が振り向いてくれそうなことに、どうやって仏教の色をつけていくかを考えています。仏教の色をつけつつ、仏教をおとしめない工夫をしています。いじりそうになることはあるんですけどね。あ、いかんいかんと思います。

――こういうのも見つけてしまいました……

 まぁあの、僕のツイートを見て不快に思う人はいると思いますが、なるべくそういう人はいないように、かつ面白いようにしています。でも「ツイート面白いですね」とか言われちゃうと、面白い投稿を狙いたくなります。次もバズりたいと欲をかくと、だいたいスベります。僕にとっての芯は仏教。そこから離れすぎるとダメだし、近すぎても理解してもらえない。バランスを大事にしています。


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