「かしいかえん」にまた会える 思い出の場所をデジタルデータで立体再現

デジタル技術で立体的に再現された「かしいかえん」(ジオ技術研究所提供)

 遊園地を何らかの形で残したい――。そんな関係者の思いに応え、地図大手のゼンリン(北九州市)の子会社が昨年末に閉園した福岡市東区の遊園地「かしいかえん シルバニアガーデン」を立体的に再現したデジタルデータを作った。園を運営していた西日本鉄道は、インターネット上の仮想空間「メタバース」に応用し、園内を楽しんでもらう企画などを検討していく。

ゼンリンの子会社が制作

 デジタルデータを作ったのは、ジオ技術研究所(福岡市)。西鉄からの依頼を受け、複数のセンサーや360度カメラなどを組み合わせた独自の「移動体計測装置」を使い、3月上旬に作業を始めた。約12万平方メートルの園内を2日間かけて撮影し、約1か月でデータを作り上げた。


移動体計測装置を使い、園内のデータを集めるジオ技術研究所の社員(同社提供)

 観覧車やジェットコースターを備えた遊園地の全景のほか、正面ゲート、プールなどの映像を、ジオ技術研究所のホームページで公開している。営業課の三毛陽一郎課長は「地元で愛された遊園地を残すという有意義な事業にかかわることができた」と語る。今後、容量を軽減したり、色を忠実に再現したり改良を加える方針だ。

仮想空間で新たな企画も

 かしいかえんの元イベント担当マネジャーで、閉園まで17年間勤めたという木下千秋さんは「ジェットコースターなど今は撤去された設備も再現され、本当に懐かしく感じた。過去に来園した人や元従業員にとっても、この『復活』はうれしい」と話した。


家族連れらでにぎわう最終営業日の園内(2021年12月30日)

 西鉄はメタバースを活用した新たなビジネスやサービスについて検討を進める。同社広報課は「昔訪れた人同士が仮想空間の『かしいかえん』で再会し、楽しめる仕組みを作ることができれば、喜んでもらえるのではないか」としている。


懐かしい空間がデジタルでよみがえる(ジオ技術研究所提供)

 かしいかえんは1956年に「西鉄香椎花園(かえん)」としてオープンし、入園者数は86年度に最多の約57万人に上った。その後、レジャーの多様化や少子化に加え、新型コロナウイルス禍も重なって2020年度は約13万人に落ち込んだ。跡地は現在、キャンプ場やドッグランなどの複合アウトドア施設となっている。


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