「ゲームは1日1時間」 高橋名人に香川県のゲーム規制条例案について聞いた

香川県議会の「ゲームは1日1時間」条例案

 ゲームで遊ぶ時間を制限する香川県議会の「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」が注目を集めています。条例案では、射幸性が高いオンラインゲームは終わりがなく、子どもが依存状態になると大人の薬物依存と同様に抜け出すことが困難になると指摘。子どもたちをインターネット・ゲーム依存症から守るための対策を総合的に推進することを目的にしています。2月開会の県議会で条例案を提案・可決し、4月1日の施行を目指しています。高橋名人に聞きました。

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称) 条例案の素案によると、この条例はインターネットやゲーム依存症対策の推進について基本理念を定め、県や学校、保護者の責務などを明らかにし、依存症対策に関する施策の基本となる事項を定める。依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、子どもたちの健やかな成長と、県民が健全に暮らせる社会の実現に寄与することを目的としている。保護者に対し、ゲームは平日60 分、休日90 分を上限とし、スマートフォンは中学生以下は午後9時まで、高校生以上は午後10時までを基準とするよう求めている。


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行政が規制するのは反対

――香川県議会のいわゆる「ゲームは1日1時間」条例案が注目を集めています。

 私が言っていた当時の「ゲームは1日1時間」から35年近くが経過しています。時代背景も異なります。当時はインターネットやスマートフォンはありません。テレビゲームのことしか想定していませんでした。「1時間」という根拠を聞かれても、とっさにひらめいた言葉なので、ほとんど根拠はありません。

 私の経験上、男の子は好きなことにのめり込む傾向があります。好きなスポーツなら、チーム名や選手名、選手の長所・短所まで記憶してしまうとか。家庭用ゲーム機が登場し、子どもたちが何時間ものめり込んでいる状況に、「このまま放置していたら、お母さんたちから『ゲーム禁止』と言われかねない」と思い、「ゲームは1日1時間」が生まれました。そういう意味では、現在も昔も、ゲームを取り巻く環境はそんなに変わってないですね。

 私のブログにも書きましたが、ゲームとの向き合い方はマナーやルールとして言うべきことで、行政が規制することではないと思っています。ゲーム人口は増えているだろうから、ゲームを認めた上で、活用法を考えてほしいです。


高橋さんのブログ「高橋名人16連射のつぶやき」

 私としてはマナーやルールとして言うべきであって、国や県が条例などの法律で縛るまでの事では無いかなと思っています。同時に、もし条例などにする場合は、子供からビデオゲームを取り上げる事になるのですから、その他に遊べる場所などを用意しなければダメだと思います。今の時代、公園に行ったとしても、ボール投げなどが規制されていたり、鬼ごっこで大声を出す事も禁止されていたりします。まぁ、これらだけではありませんが、もっとそこら辺の環境を整えてからでなければ、子供達の逃げ場が無くなると思うんです。そんな身体を使えない状況になった時、子供達はどこに行くのでしょう?それはスマホやタブレットなどのネットになってしまうのではないでしょうか?(高橋さんのブログ「高橋名人16連射のつぶやき」より抜粋)

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子どもの可能性を育もう

 私が「ゲームは1日1時間」と言ったのは、子どもたちはテレビゲーム以外から学ぶべきこともたくさんあるからです。昔ながらの遊びからは、体力だけでなく、判断力や想像力など生きる「知恵」が学べます。全国キャラバンには、息子をプログラマーにしたいというお母さんがいました。でも、ゲームだけしていてもプログラマーになれるかは分かりません。いろいろな経験が将来の糧になると思っています。だから、テレビゲームだけでなく、いろいろなことを体験させてあげてほしいのです。


――今年からプログラミングが小学校で必修化され、プログラミング教室も人気です。子どもたちを取り巻く本質的な状況は昔と変わってないのかもしれません。

 そうですね。こんな経験があります。私はハドソンで、ファミコンソフトのデバッガー(プログラミングの間違いを見つける仕事)もしていました。そうしたら、発売したファミコンソフトの『ロードランナー』で、致命的なバグが見つかりました。「全品回収か」とかなり焦りましたが、当時の『コロコロコミック』編集部と一緒に、バグを「裏技」として誌面で紹介するというまさに"裏技"を発明しました。コロコロ編集部はゲームの攻略を誌面で紹介していましたが、あくまでも攻略のヒントで、答えは示しませんでした。あとは子どもたちが遊びながら、自分で謎解きをしていきます。大人は子どもたちが持っている「興味」を刺激してあげるだけでいいのです。興味さえあれば、子どもたちは自分で創意工夫しながら学んでいきます。だから「裏技」も子どもたちに支持されました。子どもたちを信じましょう。

 現在は、インターネットを通じ情報があふれています。ゲームも多様化し、スマホのソーシャルゲームも登場しました。毎日の習い事が忙しく、習い事までの移動時間にするゲームくらいが楽しみという子どももいるでしょう。外で遊ぶにしても、公園で大声を出してはいけない、ボールを使ってはいけないなどなど。だからか、子どもたちが公園に集まって、携帯型ゲームをしている光景をよく見かけます。規制する前に、子どもたちがのびのび遊べる環境をつくってほしいです。子どもの興味を後押ししてほしい。なぜなら、子どもたちは「ぼくらは未来の社会人」ですからね。


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