西鉄が電気バスを初公開 福岡市東区で営業運転へ
記事 INDEX
- 福岡市内で電気バスが営業運転
- 中古バスにバッテリーを搭載
- 電気バスは"西鉄初"ではない
西日本鉄道(福岡市)は2月6日、福岡市東区のアイランドシティ自動車営業所で、営業運転で使用する電気バスを報道陣に公開しました。2月12日から、アイランドシティと西鉄千早駅の間で運行を開始します。
中古車両を電気バスに改造
西鉄によると、低炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として導入。朝夕の通勤ラッシュ時には路線バスとして運行し、昼間は車両に蓄えた電気を営業所に供給して電気料金の削減につなげます。
営業運転を始める電気バスは、路線バスとして使用していた車両を改造したものです。車両後部にあったエンジンをモーターやリチウムイオンバッテリーに交換。エンジン車に比べて静音性が高く、歩行者や自転車に気づかれにくいため、接近して衝突しそうになると警報音で運転士に危険を知らせる安全装置を取り付けています。
車体は金色で「ECO」の文字が施された特徴的なデザインで、車両後部には「SDGs(持続可能な開発目標)」のロゴも入っています。
バスの改造費や充電設備の設置費などを含む総事業費は6800万円で、そのうち2400万円を国が補助しています。
静かでスムーズ。でも課題も
試乗すると、エンジン特有の振動はなく、加速もスムーズでした。車両は電気を供給する電源車両としても使用でき、一般家庭10日分の電気を蓄えられます。スマートフォンなら1万5000台をフル充電できるそうです。
一方で、課題もあります。西鉄が運行している路線バスは1日平均150キロを走ります。今回導入する電気バスは、フル充電しても走行可能距離が90キロにとどまります。西鉄は「電気バスを増やすためには走行距離を伸ばす技術的な課題の解決が必要」と話しています。
電気バスが"西鉄初"ではない理由
西鉄が電気バスを運行するのは初めてではありません。燃料不足の影響により、1950年頃まで電気バスを運用していました。当時は鉛蓄電池を搭載したそうです。今回は環境対策として導入するもので、経緯は全く異なりますが、西鉄の担当者は「そういう理由で"西鉄初の電気バス"と言わないよう釘を刺されています」と話していました。