北九州市の「ど派手」成人式衣装がNYデビュー 「みやび」が出展
北九州市の成人式で例年話題になる「ど派手」衣装が、米ニューヨークでのファッションショーに登場した。衣装を手がけたのは、小倉北区の貸衣装店「みやび小倉本店」店長、池田雅さん。奇抜な見た目に批判が寄せられたこともあったが、池田さんは「続けてきてよかった」と充実した表情を見せた。
ランウェーに羽織袴!!
ファッションショーは、9月8~13日(現地時間)に開催された世界5大コレクションの一つ「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」。池田さんは12着を出展し、11日のステージで披露した。和楽器のBGMが流れる中、花魁(おいらん)姿や雷太鼓を飾り付けた羽織袴(はかま)などを着たモデルがランウェーを歩き、客席から拍手が送られた。
池田さんはもともとブライダル衣装を中心に扱っていたが、約20年前、「金銀の羽織袴で成人式に出たい」という男性客2人の依頼を受けた。前例のない注文に戸惑いつつ、毎月のように分割で1万円や5000円を持参する熱意に押された。
衣装は注目を集め、若者から様々な注文が寄せられるようになり、ヒョウ柄の振り袖や羽衣をあしらった羽織袴など個性的な衣装を生み出してきた。
「北九州のイメージが悪くなる」「恥ずかしいからやめて」と店に批判の電話がかかることもあったが、評判は海外に広がり、ニューヨークで店単独の展示会も実現した。昨年12月、カナダのマネジメント会社から招待のメールが届き、ショーへの出展が決まった。
「期待に応えていきたい」
ステージの最後に登場した池田さんは、涙を流しながら観客に手を振って頭を下げた。「批判に何度も心が折れそうになったが、若者の無理難題に鍛えられたからこそ今の作品がある」との思いがあふれた。
「ど派手」な衣装について、北九州市の武内和久市長は11日の市議会一般質問で、「北九州ならではのコンテンツとして活用していきたい」と関心を示した。
ショーの後、米国のファッションブランドからコラボを打診されたり、別のショーへの出展依頼が寄せられたりしているといい、池田さんは「これからも周囲の期待に応えていきたい」と力を込めた。